チームでふりかえりを行おう
多くの仕事は、一人ではなく何らかのチームで行っていることでしょう。チームでより良く仕事をするには、チームの現状を見なおし、今後の仕事の進め方を改善する機会を定期的に設けることが重要です。
そのための方法の一つとしてKPT(ケプト)があります。
KPT──Keep、Problem、Try
KPTでは、
- Keep(良かったことや続けたいこと)
- Problem(困ったことや改善したほうがよいこと)
- Try(良かったことを伸ばす案や、困ったことを解消する案)
のフォーマットを用います。
KPTではまず、これまでの仕事の進め方をふりかえり、みんなで共有します。そのために、KeepとProblemを洗い出して話し合います。Keepで挙がった成功には、お祝いや感謝を忘れずに行いましょう。
次に、話し合いで挙がった良かったことや困ったことを受けての改善案、つまりTryを話し合います。その際、「情報を共有する」「気をつける」などのぼんやりした案では、具体的にどんな解決アクションをとればよいかがわかりません。「情報を共有する」からさらに踏み込んで、「問題の原因はなんだろうか?」「いつ、どこで、誰が、何のアクションをとると困りごとを解消できるだろうか?」などを話し合い、今後実施することを合意しましょう。
そして次回のKPTの際には、合意したTryをきちんと実施したかや実施後どうなったかを確認しましょう。
スクラム──複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワーク
KPTは、ふりかえりのための一つの方法にすぎません。チームで仕事を進める総合的なフレームワーク(枠組み)として、スクラムがあります。スクラムはソフトウェア開発に従事する開発者やマネージャーを中心に、ハードウェア開発など非ソフトウェアの分野にまで幅広く導入されており、最も普及しているアジャイル開発手法です。
スクラムでは、「スプリント」と呼ばれる一定の期間を繰り返すことで仕事を進めます。そのスプリント期間中に、計画から作成、作成したもののレビュー、そして仕事の進め方のふりかえりまでを行います。スクラムはこのスプリントを繰り返すことで仕事を進めていきます。
スクラムがこのようにスプリントを繰り返すのは、複雑で変化の激しい問題に対応するためです。変化の激しい問題においては、事前に何を作るべきかがすべて明らかになっていることはありません。そのため、内容によって工程を区切るのではなく時間によって区切り、繰り返し少しずつ作成物を積み上げていくことで最終的なプロダクトを作り上げます。
私たちが行う多くの仕事では、複雑で変化の激しい問題に取り組んでいることでしょう。そんなみなさんはぜひ『スクラム実践入門』を手に取り、チームで問題に立ち向かってください!