どんなに魅力的なサービスでも、インフラがしっかりしてなければ価値はない
- 「ユーザー登録が数十万、数百万人に達して大人気!」
- 「テレビ番組に取り上げられて、アクセス数がうなぎのぼりに!」
Webサービスがそんな華々しい実績とともに紹介されるのをよく目にしますが、その裏側で大きな問題が起きることはめずらしくありません。
- 「アクセスしてるのに、まったくつながらないんだけど……」
- 「なんとかつながるはつながるけど、異常に遅くてイライラする……」
そんな経験、あなたも一度はあるのではないでしょうか?
どんなに便利で役に立つWebサービスがあったとしても、それを的確にお客さんに届ける基盤がしっかりしておらず、サイトが頻繁に落ちていたり、動作が遅かったりすれば、価値がありません。その基盤のことを、「インフラ」(Infrastructure:インフラストラクチャーの略)といいます。一般的には水道、電気、ガスなどを指しますが、ITではサービスを動かすためのハードウェア、OS、ネットワーク、サーバー、データベースなどがインフラにあたります。
広範な守備範囲、重大な責任、しかも少数精鋭
そんなインフラを支える人を「インフラエンジニア」といいますが、その仕事はかなり大変なものです。
まず、上記に挙げたように、ハードウェア、OS、ネットワーク、サーバー、データベースなど広範な範囲を扱うので、多くの知識が必要になります。しかも、ときには深夜作業、そしてサーバーの増設などの肉体労働が必要になることも。
また、「サーバーが落ちてしまったので、しばらくサービスが利用できません」といったことがあってはならないように、きちんとインフラを構築・運用しなければならないという、大きな責任を担います。さらに、インフラは売上を立てるためには不可欠なものの、それ単体で収益を生み出すわけではなく、費用面で経営を圧迫する可能性も秘めており、うまくやりくりする必要もあります。
そして、そんな高いスキル・重い責任が伴う仕事なのに、人員は基本的に少数です。特に、新規サービスに関わる人数は、1人か、せいぜい数人といったところ。「自分がやれなくても、だれかがやってくれるだろう」などという甘えはいっさい通用しません。
インフラに取り組む3つのメリット
では、そんな大変なインフラの領域に首を突っ込むなんて、やめたほうがいいのでしょうか?
「そんなことはない」と、新刊『たのしいインフラの歩き方』の著者である齊藤雄介さんはおっしゃいます。齊藤さんは、「インフラに取り組む価値がある」と自信を持って言えるメリットとして、以下の3つを挙げます。
- 知識が広範囲にわたるため、飽きない
- まっさらな新しい技術に挑戦できる機会が多い
- 希少価値のあるエンジニアになれる
齊藤さん自身、アプリケーションエンジニアからインフラエンジニアに転身し、小規模なスタートアップから大規模まで幅広い経験を積んできました。「インフラで大事なのは、基本的な考え方です。その土台が整えば、あらゆる具体的な手法や知識は勝手に地に足がついてまわるはず」とおっしゃいます。
では、インフラの“基本的な考え方”とはどのようなものか?
『たのしいインフラの歩き方』では、その答えが集大成。じつに672ページという物量で、齊藤さんが十数年で培ったノウハウや体験をふまえ、インフラの全体像を俯瞰できるようになっています。ネットワーク設計などの基礎知識、最新のクラウド活用法はもちろんのこと、組織の規模別に求められること、引っ越しやコスト削減などのイベントに対処するためのノウハウも満載。インフラの専門家を目指す方でなく、「人手がないから、インフラの面倒みてよ」と言われたスタートアップのエンジニアの方、「数十万、数百万人のユーザーを抱えるアプリやサービスを作りたい、ゆくゆくは世界展開も!」と考えている経営者の方などもきっと楽しめるはずです!