Amazon Web Services(AWS)とは
Amazon Web Services(以下AWS)はAmazon.comによって提供されている、Web経由で利用可能な世界最大級のクラウドコンピューティングプラットフォーム(以下クラウド)です。2004年11月からサービスの一般公開を開始し、2015年10月現在では、約50のサービスを提供するまでに成長しています(図1 ) 。
今回は、このAWSにはどのような特徴やメリットがあるのか、そしてAWSをどのように操作するのかについて解説していきます。
図1 AWSが提供する主要サービスの一覧
いろいろなサービスが用意されている
AWSでは、サーバを構築するEC2(Elastic Compute Cloud)や、データベースが利用可能になるRDS(Relational Database Service) 、仮想的なプライベートなネットワークを作るVPC(Virtual Private Cloud)など、いろいろなサービスが提供されています。また、システム管理をAWS上で行うフルマネージドサービスも用意されており、これらをうまく組み合わせることによって、高負荷に耐えうる、信頼性の高いシステムを少ない手間で運用できます。
必要な分だけ使うことができる
AWSでは、必要なときに必要な分だけリソースを調達することができます。これはどういうことかと言うと、たとえば、あるショッピングサイトがあるとします。そのサイトでバーゲンセールを開催したとき、いつもの数倍、場合によっては数十倍のアクセスが集中することになります。自前でサーバやネットワークの機器を用意したシステムでは、その処理能力に限界があるため、バーゲンセールの注文をすべて受け付けることができない可能性が出てきます。また、そのセールに対応できるように機器を用意すると、普段はそこまでの処理能力を必要としないため、余計な費用がかかってしまいます。AWSでは、そのバーゲンセールの期間だけサーバ数を増やしたり、サーバの処理能力を上げるなどを簡単に行うことができます。また、バーゲンセールが終了した際は、その増やしたサーバをすぐにでも処分できるので、効率が良いシステムの運用が可能になるのです。
使った分だけお金を支払う
AWSはサービスを使ったら、使った分だけお金を支払えばよい従量課金制です。よって、先ほどのショッピングサイトの例では、バーゲンセールの際に追加したサーバなどのリソース分の金額をいつもより多く支払えばよいのです。そして、バーゲンセールが終了したあとに追加分を処分すれば通常の金額へ戻すことができるので、費用対効果の高いシステム運用が可能になります。
ブラウザから操作できる
AWSのサービスは、Webブラウザから操作することができます。このブラウザ上の操作画面をマネジメントコンソールと呼びます(図2 ) 。この画面ではAWSシンプルアイコンというアイコンを使って各サービスがわかるようになっていて、直観的にかつ無理なくシステムの設定などを行うことが可能です。
図2 マネジメントコンソール
コマンドでも操作できる
マネジメントコンソールは非常に便利ですが、AWSはコマンドでも操作することができます。コマンドは次のような「aws」で始まるもので、いろいろなサービス向けに用意されています。
$ aws ec2 create-key-pair --key-name my-keypair-from-cli
簡単ではありますが、本稿でAWSがどのようなものか少しはわかっていただけたかと思います。AWSは日々アップデートをしており、たとえば、それまで英語によるものであったマネジメントコンソールが日本語にも対応するようになりました(正確には多言語に対応) 。今後もクラウドはますます機能が充実していき、その存在感は増してくるはずです。