確定申告書の小さいけれど使えるヤツ

3月15日は大切な日

3月15日。この日が何の日か、すぐにピンとくる方は、個人事業主やフリーランサーとしてご自分で事業を営んでいる方かもしれません。

3月15日は確定申告の〆切日です。⁠オイオイ、いま何月だと思ってるの? 3月なんてまだ当分先のことじゃない」――ごもっともです。けれど、本格的に寒くなってきて、冬支度を終えたら意外に年末はすぐそこで、お正月を通過したら今年も12分の1が過ぎたなぁとなって、2月は日にちが少ないからすぐ終わるなぁ……なんてやっていると3月15日は、けっこうあっという間にやってくるものです。

というわけで、ここでは、ご自分で申告をされる個人事業主やフリーランサーの方に向けて、確定申告のワザを一つ、アドバイス差し上げたいと思います。

あなたは白色? それとも青色?

個人事業主やフリーランサーの方が確定申告のときに提出する書類はいくつかあります。必ず提出しなければいけないのは、⁠確定申告書B」と、⁠収支内訳書」or「青色申告決算書」です。⁠確定申告書B」は、申告書の本体のようなものです。BがあればAもあるということで、⁠確定申告書A」もありますが、これは会社員の方や年金を受け取っている方が申告するときに使用するものです。個人事業主やフリーランサーは確定申告書Bを使います。

「収支内訳書」or「青色申告決算書」は、⁠確定申告書B」と一緒に提出する書類です。白色申告の人は収支内訳書を、青色申告の人は青色申告決算書を提出します。青色申告は、簡単にいえば、ルールに従って帳簿づけを行うと、いくつか用意されている税金上の特典にあずかれる制度で、青色申告をするには事前に申請が必要です。青色申告でない方は白色申告となります。白色申告には申請は必要ありません。

白色→収支内訳書、青色→青色申告決算書というわけです。収支内訳書はオモテ・ウラの2枚ですが、青色申告決算書はオモテ・ウラ×2で都合4枚あります。⁠ルールに従った帳簿づけ」ということで、青色申告は白色申告に比べてより正確な記帳作業が求められ、書類上で記入する個所も多くなります。

収支内訳書
収支内訳書

スルーしがちだけれど、実はかなり使える「特殊事情」

収支内訳書と青色申告決算書はいろいろな違いがあるのですが、双方まったく同じ記入欄もあります。それが、⁠本年中における特殊事情」欄。これは、収支内訳書の2枚目、青色申告決算書の3枚目に設けられている自由記述の欄です。

この「本年中における特殊事情」欄は、用紙のはじっこにあるし、自由記述式だし、特殊事情といえるようなことなんてとくにないから、ここは空欄のままでいいか、という方が少なくないようです。

さて、税金を納める先の税務署は申告書の不審点をあぶり出し、税務調査を行って追徴税を稼ぐのが仕事です。脱税しようとしている形跡がないかをしています。たとえば、売上が急に上がっているのに、納税額があまり増えていない場合や、特定の経費が急に増えたような場合には税務署員の目がキラリと光ります。

やましいことが一点もなかったとしても、税務署に目をつけられるようなことは誰もが御免こうむりたいもの。そんなときには「本年中における特殊事情」欄を使うのがオススメです。なぜ売上は上がっているのに、納税額(利益)があまり増えていないのか、なぜ特定の経費の額が例年に比べて急に増えたのか、その理由を書き記し、自分は脱税なんかしていない、ということを暗に宣言してしまえばいいのです。

たとえば、経費が増えた場合に、⁠今期は事務所のOA機器を一部入れ替えたため、例年に比べて消耗品費が増加した。」などと記入してあるのとないのでは税務署が受ける心証がまったく違います。

なかなかに地味な存在で、ついついスルーしがちの特殊事情欄ですが、税務署の誤解を招いて忙しい盛りのときに呼び出しを食ってしまった、なんてことを避けるためにも、その使い方は覚えておいて損がないと思います。