- 「あの人は軸がぶれぶれだな。いつも相手にいいことばかりいって、結局みんなが迷惑している」
- 「なんであの人はいつも仕切ろうとしてくるのか。いちいち口出ししてくるのでやる気が落ちる。任せてくれればやるのに」
- 「プロジェクトの締め切りが近づいて、みんな精一杯がんばっているのに、あの人だけはマイペースなんだよな。イライラしてくる」
あなたは周りの誰かに対してそんなふうに思ったことはありませんか? これらは書籍『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』の第5章『なぜ人間関係がうまくいかないのか』から、冒頭にあるセリフを抜粋したものです。本書は今話題のアドラー心理学の視点から、日常における悩み事を分析し、解決の糸口を見つけようという主旨の本です。
それにしても、なぜこんな気持ちのすれ違いが起きてしまうのでしょう。
お互いのライフスタイルがわかれば、メンバーの強みを活かせる
私たちは仕事や生活のなかで、さまざまな課題に対処します。このとき、自分にとっては当たり前のことなのでなかなか気づくことはできませんが、「自分なりの一貫した方針」で対処しています。これをアドラーは「ライフスタイル」と名付けました。ライフスタイルは、人それぞれ独自のものなのです。
チームで働く場合、一緒に働いているメンバーのライフスタイルも、人それぞれです。ということは、お互いのライフスタイルが違っていることを知らなければ、お互いを理解することもできず、チームワークもうまくいきません。
ただ、ライフスタイルは人それぞれといっても、傾向を大きく見れば、いくつかのタイプに分けられることがわかっています。私たちが課題に直面するとき、どのような目標を最優先して解決しようとするか、という点に注目してみましょう。こうした「最優先目標」で分けると、以下の4つのタイプが考えられます。
- Aタイプ:安楽でいたい(Arm chair、安楽型)
- Bタイプ:好かれたい(Baby、仲良し型)
- Cタイプ:主導権を取りたい(Controller、リーダー型)
- Dタイプ:優秀でいたい(Driver、優秀型)
各タイプは表に示したように、それぞれに強みや弱みを持っています。これらの詳細についてはぜひ本書をお読みいただければと思いますが、こうした枠組みを使えば、自分自身のライフスタイルを知り、他人との関係性を考えられるので、チームメンバーとどのように協力していけばいいか、というヒントになるでしょう。
表 4つのライフスタイル類型の特徴
ライフスタイル類型 | A | B | C | D |
最優先目標 | 安楽でいたい | 好かれたい | 主導権をとりたい | 優秀でいたい |
苦手なこと | 苦労すること | のけものにされること | 服従すること | 無意味な時間 |
苦手なことを避ける方法 | 一番安楽な道を選ぶ | 他の人を喜ばせる | 他の人をコントロールする | 人一倍努力する |
強み | 気楽さ | 親密さ | リーダーシップ | なんでもできる |
弱み | 成長がない | 自分がない | かたくな | 背負いすぎる |
まわりの人が抱く感情(+) | ほっとする | うれしい | 頼れる | 尊敬できる |
まわりの人が抱く感情(-) | いらいらする | 信用できない | ムッとする | 劣等感を刺激される |
愛用する感情 | (なし) | 不安 | 怒り | 憂うつ |
口癖 | めんどうくさい | どうぞどうぞ | やってられない | まだまだだ |
まあ、いいか | どうしよう | 私に任せて | 疲れた |
本書では巻頭に、自分のライフスタイルを診断するための『ライフスタイル診断シート』を挟み込んであります。ぜひお使いになってみて、人間関係改善のヒントをつかんでみてください。チームメンバーの強みを活かしていける、チーム作りの実践に役立てていただければ幸いです。