「Bash on Ubuntu on Windows」でますます需要が高まるUnix/Linuxの知識 ~二大エディタならシェルをもっと活用できる!

Windowsでbashが使えるようになるってどういうこと?

米国時間3月30日から4月1日の日程で開催されたMicrosoftの年次イベント「Build 2016」で、同社のLinux関連戦略に大きなトピックが追加されました。それは、Linux OSでメジャーな「bash」というシェル(簡単に言うとコンピュータと対話するためのOSのユーザインターフェース部分)をWindows OS上で動作させるプロジェクトです。これによって、Windows上でLinuxバイナリが実行できるようになると期待されています。

Linuxとの協調路線を強めるMicrosoft

ここ数年、Microsoftはクラウド(Azure⁠⁠、Linux、オープンソースに力を入れています。この背景には、大企業のサーバ、データセンター、クラウドの分野でLinuxのシェアが高まっているという業界動向があります。2011年で65%と45%だったLinuxとWindowsの同分野での導入率が、2014年には79%と36%と、その差をさらに広げたというレポートもあります(参考:「2014 Enterprise End User Report」The Linux Foundation⁠。

Windows上でbashを使えるようにすることで、この動向に敏感なIT技術者がWindowsに感じていた障壁が1つ取り除かれると考えられます。もちろん仮想化などの手法を用いれば現状でもOSの混在/切り替えは可能ですが、MicrosoftがWindowsの一部として提供することにより、すべてのWindows 10ユーザが同じbash環境を同時に手にするという点が重要です。

これらのことはつまり、これからのIT技術者にはUnix/Linux系のシェル操作がこれまで以上に求められるということにほかなりません。

Unix/Linuxで愛用され続ける二大エディタを学ぶ意味

さて、ここでようやく本書の出番となるわけですが、書名にある「Vim」「Emacs」は、どちらもUnix/Linuxのシェル上で動作するテキストエディタとして誕生しました。いまではGUI版として独立したウィンドウでも動作します(Mac OS X用とWindows用もあります)が、もともとはシェルでのOSとの対話中にテキスト編集が必要になったときに起動し、シェルとエディタを行き来して使います。VimとEmacsはそのような使われ方を前提に洗練されてきたため、マウスは一切使わずキーボードだけでシェルのコマンド実行(つまりコンピュータの操作)とテキスト編集作業が行えます。

両エディタが持つシェルとの親和性の高さは、前述の状況を考えれば、これからのIT技術者にとって武器になり得ます。Microsoftの発表でも、bash上で動作するアプリケーションの例としてEmacsが挙げられています。

 Windows 10で動作中のEmacs
図 Windows 10で動作中のEmacs

本書は、合計24名からなる両エディタの愛用者による寄稿記事を収録しました。愛用される理由は、読者の皆さん自身が手を動かして見つけてください。本書がこれからのITを担う読者の皆さんにとって、手放せないエディタ探しの一助になれば幸いです。