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2016年、新しいITブームの兆しがある!

2016年の今、ITの世界に地殻変動が起こっていることを、皆さんはご存知でしょうか? ITといえば、パソコン、インターネット、スマートフォンと、時代が進むにつれてその主役は変化してきました。特に、1999年から2000年にかけて起こった「ITブーム」は、⁠ITバブル」とも呼ばれ、インターネットに対する期待が株価の異常な上昇として現れました。その後の、ITバブル崩壊により、反対にIT不況などと呼ばれたことも、覚えている方がいるかもしれません。

この時の「ITブーム」は、主にインターネットの爆発的な普及とそれに伴う関連企業への注目が理由でしたが、さらに時代をさかのぼれば、1995年のWindows 95の登場もまた、ITに大きな注目が集まったイベントであるといえます。また2007年のiPhone発売もまた、ITの世界が大きく変わる端緒であったといえるでしょう。

このように、ITをめぐる状況は時代とともに大きく変わり、ターニングポイントと考えられる出来事が周期的に起こっています。そして2016年、新しいITブームの兆しが随所にみられるのです。

しかも現在注目を集めているIT技術は、1つではありません。複数の新しいキーワードが同時に生まれ、今まさにビジネスに活用されようとしているのです。そんな最新のIT用語、IT知識を1冊で身に付けることができるのが、技術評論社が刊行する「60分でわかる!」シリーズです。

4つの最新キーワードを知る

数ある最新のIT技術の中で、⁠60分でわかる!」シリーズは4つのキーワードをピックアップしました。それが、次の4点です。

  • IoT
  • VR
  • AI
  • クラウド

これらの技術には、実はひとつの共通点があります。それは、いずれも「古くからあるしくみや考え方がようやく現実のものになろうとしている」ということです。例えばIoTの場合、⁠冷蔵庫の中身がなくなったら自動的に注文を出す」のように、IoTで実装されようとしているアイデア自体は以前からありました。VRはご存知「バーチャルリアリティ」の略であり、普及こそしなかったものの、過去に商品化されたものもありました。またAIは「人工知能」のことです。言うまでもなく、人工知能はSFなどで語られてきた定番のテーマであり、不十分ではあるものの、AI自体は以前から存在していました。クラウドは、いわば「サーバ」という形で役割自体は以前から存在していたと言えます。

このように、今注目を集めているIT技術は、いずれも「考え方や役割、製品そのものは以前から存在していた」ものであるといえます。しかし、インターネットの通信環境やCG、センサー、仮想化技術など、様々なテクノロジーの発展によって「一気に現実味を帯びてきた」⁠ビジネスとして活用可能になってきた」というのが、これら技術に共通の特長であると言えるでしょう。以降では、これら4つのキーワードについて、簡単な紹介を行っていきます。

IoT

IoTは、⁠Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。IoTを構成するのは、大きく次の3つと考えるとわかりやすいでしょう。⁠センサーを搭載したモノ」⁠インターネット」⁠サーバ」です。もっともよく知られているIoTの事例に、⁠Amazon Dashボタン」があります。これはその名の通りボタンの形をとったデバイスで、センサーの代わりに人がボタンを押す必要があります。⁠Amazon Dashボタン」にはさまざまな製品が紐づけられています。例えば洗剤に紐づけられた「Amazon Dashボタン」を押すと、インターネットを介してAmazonのサーバに洗剤の注文が入り、ユーザの手元に洗剤が送られてくる、というしくみです。このように、⁠モノがインターネットを経由して自動でサービスを提供してくれるシステム」が、IoTであると言えます。

VR

VRは、⁠Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。VRは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)というゴーグルをつけることで、映像やゲームコンテンツなどを体験できるシステムです。VRではHMDによって現実の世界が完全に遮られます。そして、頭の動きや身体の移動にあわせて、目の前に広がっている仮想の世界もまた動いていきます。つまり、宇宙空間や深海、ファンタジーの世界など、一般の人は行くことができない場所、現実には存在しない場所を、まるでその場にいるかのように体験できるのです。2016年10月には、⁠PlayStation VR」が発売され、ゲームの世界で本格的にVRの普及が始まりました。また、自動車の試乗体験や観光業でのヴァーチャルツアー、家のモデルルーム体験、バーチャルショッピングなど、ビジネスでの活用も大いに期待されています。

AI

AIは、⁠Artificial Inteligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。通常のコンピュータプログラムが、設計者が想定した範囲の判断と処理を繰り返すことしかできないのに対し、AIは、AI自身が学習することで判断や処理の範囲を拡張していくことができます。しかし、AIの考え方、しくみは以前からあったにも関わらず、なぜ、今になって実用可能なレベルに到達し、注目を集めるようになったのでしょうか? 様々な理由が考えられますが、もっとも大きなものに、⁠機械学習と呼ばれる基盤技術の進歩」があります。そして、それを助けるコンピュータの性能向上があります。AIは現在、Pepperなどに代表されるロボット技術はもちろんのこと、畑の害獣退治や社員の不正監視、マーケティングへの活用など、さまざまな分野への導入が進んでいます。

クラウド

クラウドは、パソコンやスマートフォンから、インターネットを経由してさまざまなサービスやデータにアクセスするという利用形態の総称です。従来であれば、パソコンにインストールされたソフトを使ってデータを作成し、そのデータをパソコン内に保存する、という形態が一般的でした。しかしクラウドでは、ソフトに該当するサービス部分や、データが保存されている場所が、どこにあるのかはわかりません。たとえばすでにおなじみの「Gmail」「Googleカレンダー」⁠iCloud」といったサービスは、すべてクラウドであると言えます。現在、企業、個人を問わず、コンピュータの利用形態は次第にクラウドへと移行しつつあります。その中でもっとも勢いがあるのが、Amazonが提供する企業向けクラウドサービス「AWS」です。AWSでは複数のサービスが提供されており、必要に応じて容量を変更できる仮想サーバや、オンラインストレージ、コンテンツ配信、IoTなどが含まれます。AWSをはじめとするクラウドの利用により、コストの削減や迅速な運用など、多様なメリットを企業にもたらしてくれるのです。