2010年刊行の『JavaScript本格入門』はご好評いただき、30,000部突破のベストセラーとなりました。それから6年、ようやく今に合わせて「改訂新版」を刊行することができました。
今回は、Webアプリ開発には欠かせないプログラミング言語となったJavaScriptの、これまでの歴史を振り返り、最近のJavaScriptの進化についてもご紹介したいと思います。
不遇の時代を経たJavaScript
JavaScriptは、ブラウザー向けプログラミング言語として1995年に開発されました。当時のWebページは文字と写真が並ぶだけの静的なものが多く、色や表示を変えられるJavaScriptの動的なエフェクトは、一大ブームとなりました。
しかし、「とにかく派手なページをつくりたい」という欲求が行き過ぎた結果、装飾だらけで使い勝手の悪いページの量産されてしまいました。JavaScriptには「ダサいページを作成するための低俗な言語」というイメージだけが定着してしまったのです。
JavaScriptに光明をもたらした「Google Maps」
JavaScriptが再び注目を集めるのは、2005年「Ajax」の登場です。Ajax技術は、ブラウザーに実装されている機能だけをつかって動的なアプリケーションをつくることを実現しました。
その代表的なWebサービスは、あの「Google Maps」です。ページ画面の移動で時間をかけることなく地図をスクロールできたことは、当時のユーザーを驚かせました。
これによりJavaScriptは、ただWebページを装飾するだけではなく、アプリケーションを開発できる「Ajaxを支える中核言語」として認識され、Web開発に必須のプログラミング言語として地位を高めたのです。
JavaScript誕生から10年、大きな転機でした。
「改訂新版」まで6年、JavaScriptはどう進化したのか
2014年に勧告された「HTML5」、2015年に策定された「ECMAScript 2015」によって、JavaScriptは大きな進化を遂げました。HTML5によって、JavaScriptの機能は強化され、ブラウザーだけで実現できるアプリケーション開発の範囲が、格段に広がったのです。
新仕様であるECMAScript 2015は、JavaScriptの言語としての能力を高めました。特に大きな進化は、オブジェクト指向のプログラミングスタイルでしょう。これまで、JavaやC#などの他のプログラミング言語に比べて扱いにくかったオブジェクト指向の構文が、より直感的に書けるようになり、安全で便利な言語へと進化をつづけているのです。
また、JavaScript周辺のツールも次々と登場しています。「Node.js」はJavaScriptをブラウザーからサーバーサイドまで広げ、「Backbone.js」「AngularJS」「React.js」などの最新フレームワーク・ライブラリが、Web開発エンジニアたちを賑わせています。
JavaScriptは、今や開発言語として欠かせない存在なのです。
手軽に導入できるからこそ、“なんとなく”書けるだけで満足しないために
JavaScriptは、ブラウザーのみで動かすことができるため、初学者にとっても手軽な言語です。しかし、きちんと効率よくモノづくりを進めるには、たしかな知識が欠かせません。
『改訂新版JavaScript本格入門』では、手軽さゆえに“なんとなく”で済ませてしまいがちな基礎はもちろん、新記法により変わるオブジェクト指向のプログラミングスタイルや、開発現場で必須のテスト、コーディング規約、トランスコンパイラーなど応用知識もしっかりと押さえました。
目まぐるしく進化をつづけるJavaScriptを基礎から学習するために、ぜひチェックしてみてください。