FinTechのことがなんとなくわかる5つのQ

2016年は、⁠FinTech」⁠フィンテック)という横文字がいろいろなメディアに登場する年になりました。もともとはIT業界や金融業界など、一部のプロフェッショナルの方々の間でかわされるターム(専門用語)だったのですが、⁠なにやらFinTechはすごいらしいぞ」と、ジワリジワリとその認知を拡大、2016年は本格デビューの年になったといっていいでしょう。

ここでは、FinTechとはそもそも何なのか、ということから、FinTechの周囲にある、これから注目が高まっていくすごい技術まで、新刊書籍スマートコントラクト本格入門―FinTechとブロックチェーンが作り出す近未来がわかるの説明を引用しながら、Q&A形式でコンパクトにまとめてみたいと思います。

Q:FinTechって、そもそも何?

A:金融ビジネス(Finance)とIT技術(Technology)を組み合わせた革新的な金融サービス、それを提供する企業、サービスの仕組みを支える技術の総称です。身近にあるサービスでいえば、スマートフォンを使った割り勘や決済が可能な「LINE Pay」「Venmo」⁠ベンモ)⁠Apple Pay」などは代表的なFinTechサービスの一つです。

Q:FinTechによってどんなサービスが提供されるの?

A:現在は全世界で1,200以上のFinTech企業が存在するといわれています。従来からある金融サービスに対して、新興のスタートアップ企業が多様な付加価値をつけることで、新たなサービスを提供しています。

FinTech企業が提供している代表的なサービスの種類は、主に次の5つです。

1.融資・審査
→個人向け融資、クラウドファンディングやソーシャルレンディングなど
2.送金・決済
→モバイル決済、個人間送金など
3.資産運用・投資管理
→個人向けの資産管理プラットフォームや、AIによるアルゴリズム・自動投資など
4.財務管理
→個人・法人向けの財務・会計管理プラットフォームなど
5.調査・分析
→投資情報収集のプラットフォームなど
Q:「ビットコイン」という言葉を聞いたことがあるけど、これもFinTechの一つ?

A:はい。ビットコイン=仮想通貨はインターネット上の決済システムそのものを意味しますので、FinTech分野の新たな技術・サービスの一種といわれています。ビットコインを支える基盤技術を「ブロックチェーン」といいます。ブロックチェーンは、一言でいうならば、⁠過去すべての取引履歴を格納しつつ、取引に参加する人たちの間での合意形成も行って、なおかつ、オープンなネットワーク上で透明性の高い取引を実現する」仕組みです。わかりにくいですね(笑⁠⁠。決済や取引など、人の経済活動のこれからに大いなるインパクトを与えるであろう技術ととらえてもらえばOKです。

Q:仮想通貨以外にも、ブロックチェーンの使い道はあるの?

A:期待されている分野の一つが「スマートコントラクト」です。スマートコントラクトとは、⁠プログラムできる契約」のこと。ある契約をプログラムで定義し、ある条件に合致した際には、価値あるデジタル情報(たとえばビットコインのような仮想通貨)で取引します。そして、契約が正確に履行されたかどうかのチェックも自動化して実行します。

たとえば車の取引であれば、スマートコントラクトを実行することで、車の新しい所有者から元の所有者に対してビットコインなどのデジタル価値情報で支払われた車の代金が検知されます。そして、スマートフォン上でスマートロックしていた車のキーの所有権が、自動的に新しい所有者のスマートフォンに譲渡され、車の所有権も移譲される、といったことが行われます。

Q:スマートコントラクトのメリットをもう少し具体的にいうと?

A:主なものを挙げます。

  • 契約内容を改ざんできない
  • 契約条件に基づき資産や権利の移譲を自動執行できる
  • 契約違反時の罰則を自動執行できる
  • 仲介者が不要となるため、詐欺や二重売買などの仲介トラブルが減る
  • 契約手数料を削減できる
  • 誰でも契約内容や権利移譲を検閲できる

今後の技術の深化によって多様なサービスが花開くことで、スマートコントラクトは、人類史における3つの革命――農業革命、産業革命、情報革命――にも匹敵するようになるのではないかという声があります。まさに要注目のイノベーションです。