約3年に1度のタイミングで改訂されている「LaTeX2ε美文書作成入門」シリーズが、そのペースを守って2017年1月、改訂第7版を数えることとなりました。今回の改訂でも、歴史上の記述になってしまったような冗長な表現を削っては新しい知識や知見を入れ込み、時代に即した入門書として生まれ変わりました。
全部を語り尽くすには紙面が足りませんので、以下ではこの3年の間に活発に開発が進んだ、TeX2imgというソフトウェアを紹介します。『[改訂第7版]LaTeX2ε美文書作成入門』付録DVD-ROMでは、Windows版・Mac版のセットアッププログラムで標準的にインストールされます。
TeX2imgは何をするソフトウェア?
TeX2imgは、LaTeX出力を画像にするためのツールです。PDF、EPS、PNG、SVG、EMFなど多様な画像形式をサポートしています。初期設定では、ページの余白が切り取られ中身ぎりぎりの画像サイズになりますので、たとえばLaTeXで出力した数式を別のソフト(DTP ソフト、ワープロソフト、プレゼンソフトなど)やウェブページに貼り付けるために便利です。また、PDFやEPSなどのベクトル形式の画像にする場合、文字のアウトライン化をしてくれますので、ベクトル形式の画像編集ソフトでエフェクトを掛けるのにも便利です。
LaTeXの記述能力とTeX2imgの強力な画像生成機能との組合せでできることは多岐にわたります。たとえば、既存PDFのアウトライン化にも使えます。詳しくはTeX Wikiをご覧ください。
TeX2imgの使い方
図1 TeX2imgの画面
TeX2imgを起動すると、図1のような画面が現れます。「TeX コードを直接入力」と書いてあるボックスの中に、普段のLaTeX文書で\begin{document}から\end{document}の間に書く内容を書き、[画像ファイル生成]ボタンを押します。すると、出力先ファイル画像が生成され、その画像形式の既定のソフトウェアで自動的にファイルが開きます。画像の形式は出力先ファイル名の拡張子で判断されます。
普段のLaTeX文書で\begin{document}の前(プリアンブル)に書いてある内容を反映したい場合は、[表示]→[プリアンブル設定ウィンドウ (P)]とたどると、設定用の画面が開きます。
すでにLaTeXを使い倒している人が抱く、いろいろ設定したいという欲求を存分に満たせる一方、ちょっとした数式だけほかのソフトに貼り付けたいといったライトユーザーには余計な手間をかけさせない、バランスの取れたツールに仕上がっています。ちょっとしたLaTeX編集エディタだと思って、まずは使ってみてはいかがでしょうか。