急激に加速するVRの世界
「VR元年」とも呼ばれた2016年以降、VR(Virtual Reality)の世界は急激に進化を遂げつつあります。当初はエンターテイメント(ゲーム)の分野を中心に広がりましたが、最近では、ゲームに留まらず非エンターテイメントの分野での活躍が期待されています。本稿では、「そもそもVRとは何か?」を解説しながら、広がりを見せるVRの世界をさまざまな視点で総合的に解説した書籍「VRエンジニア養成読本」を紹介していきます。
そもそもVirtual Realityな世界とは何か?
「VR=仮想現実」という言葉を耳にすると思いますが、仮想現実とは「架空の空間にあたかも自分が実在しているかのような体験をする」ことになります。つまり脳にいかに錯覚を起こさせるかという技術になります。その代表的な物がヘッドマウントディスプレイです。この研究は1960年代から続けられてきましたが、2012年に低価格でシンプルなOculus Rift DK1が登場し、徐々に一般に普及していきました(写真1)。
写真1 Oculus Rift
近年では、「視覚」を騙すヘッドマウントディスプレイ、「聴覚」を騙すヘッドホンに加え、「触感」を騙すハンドコントローラー(写真2)の開発も進んでいます。
写真2 Oculus Touch
VRとARの違い,そしてVRのこれから
VR(仮想現実)と似た言葉でAR(拡張現実)という言葉があります。両者の違いは、VRが「架空の空間」に「あたかも自分が実在しているかのような体験をする」のに対し、ARは「現実の世界」に「あらたな情報を追加させて、現実+αを実現する」点にあります。最近では、VRとARの技術を取り入れた「複合現実」と呼ばれるMR(Mixed Reality)の取り組みも盛んです(写真3)。
写真3 HoloLensを使用した「Windows Mixe Reality」の世界観
「VRエンジニア養成読本」の紹介
最後に先に触れた、「複合現実」の未来の技術も含め、最新のVRを取り巻く状況を総合的に解説した「VRエンジニア養成読本」の中身を紹介します。
巻頭特集では、VRの実現のための要かなめとなるヘッドマウントディスプレイについて、現在提供されているものと、これから登場するものを紹介しています。
特集1では、比較的手軽に試せるヘッドマウントディスプレイとして「Google Cardboard」向けのアプリと、人気の「Oculus Rift」向けのアプリ開発を試しに行うための解説をしています。さらに、UnityでQuaternionクラスを利用し、視線と頭の動きを使ったインタラクティブなアプリを開発する方法も解説します。
特集2では、VRで重要な「没入感」を実現するために考えておくべきコンセプト開発と空間設計を解説しています。
特集3では、複合現実と呼ばれる、仮想空間だけでなく現実世界と仮想空間の複
世界を実現するMicrosoftの注目デバイス「HoloLens」の概要と、アプリ開発の基本を紹介します。
特集4のキーワードは、「3Dプリンター」と「ジェネラティブアート」です。VRと組み合わせることでさらに新しい可能性がもたらされるその概要、技術を紹介します。ここからまたあらたなビジネスや空間表現が広がっていくかもしれません。
さらに一般記事として、最近注目の360度動画を紹介しています。
今まさに広がろうとしているVRの世界を知るきっかけとして、ご活用ください。