受験対策で大事なことは
平成29年度秋期情報処理技術者試験の願書受付けが7月上旬から始まります。ネットワークスペシャリスト試験を受験しようとする方にとっては、これからが学習の仕上げの時期、あるいは本格的に受験対策を始める方も少なくないことでしょう。
ところで、受験対策で大事なことはなんでしょう?
受験参考書を読み込むこと、過去問題を解いて出題に慣れること、実務での経験を積むこと、自宅での実機学習を行うこと……どれもとても大事です。そして、これらの学習を進めるときにぜひ意識してほしいことがあります。それは、
ということです。なんとなくは理解しているはずという方、そして、何度も今一歩及ばずで合格ラインに届かなかったという方にこそ、まだ試験まで時間があるこの時期に、基礎の理解に学習の的を絞っていただきたいと思います。
基礎技術の理解が合格への近道
「受験者がプロトコルなど基礎技術を体系的に整理し、実務経験があれば容易に解答できるよう工夫している」
出典:http://www.jitec.jp/1_13download/guidebook_pdf/guide_200702_10_nw.pdf
これは、試験センターが、ネットワークスペシャリスト試験の旧試験であるテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験において、「試験区分の内容説明」で述べた内容です。
ネットワークスペシャリスト試験は、合格率が14.4%(過去8年平均)ととても難しい試験です。にも関わらず、「基礎技術」と「実務経験」があれば、「容易に解答できる」内容であるのです。その証拠に過去問題の解答例を一度見てみてください。難しいキーワードは出てきません。基礎的な用語で構成されていることがわかると思います。
もちろん、解答の組み立て方や正答の導き方を学ぶことも必要ですし、出題の状況を素早く理解できる(実務経験で培ってきた)能力も解答には有利でしょう。しかし、試験の合格ラインは60点です。これは、基礎をしっかり固めることで突破できるラインなのです。
特に、あとちょっとで合格に手が届くところなのに…という受験者には、基礎固めは効果抜群。午後試験の得点を20点アップし合格を手にすることができる近道となるでしょう。
基礎といっても本質から理解することが大事
基礎の重要さを述べてきましたが、基礎知識といってもキーワードレベルの理解のことではありません。本質的に理解するところまでとことん突き詰めていってほしいのです。
試験の対策本『ネスペの基礎力 -プラス20点の午後対策』では、受験者の気づきとなるようなQ&Aを設けています。基礎はわかっているつもりだったけど、あらためて問われると実は理解不足だったことに気づくことも多いと思います。
たとえば、本書では、フレーム構造やパケット構造がきちんと理解できているか(構造を書けるか?)ということが何度も問われます。ネットワークの礎となるのはフレーム・パケット構造だという著者の考えからです(合格に近づくだけでなく、業務にも確実に役立ちます)。そして、その実際は実機でパケットキャプチャをとって確認することで実感として認識でき、理解が深まることでしょう。ここまでいけば、腹の底から「理解できた」といえるのではないでしょうか。
皆さんもちょっとチャレンジしてみてください。
Q.イーサネットのフレーム構造を書け。
できれば、何も見ずに書いてください。「フレーム」という問いをしていますので、答えを書くときは、レイヤ2の情報にとどめてください。
さらに、以下の問いにも答えてみてください。
- →イーサネットフレームのサイズは、いくつになるか。
- →VLANが付加されたら、このフレーム構造はどうなるか。
- →HTTPのパケット構造を書け。(「フレーム」ではなく「パケット」という言葉を使いました。レイヤ2の情報ではなく、レイヤ3、レイヤ4の情報を中心に書いてください)
最初に問いかけたフレーム構造は、実際には以下のようなデータになって流れています。
フレームのキャプチャ画面の例
秋試験まで長いようであっという間です。本書が受験する皆様のお役に立てれば幸いです。ご健闘をお祈りします!