サーバ監視の重要性
企業内の業務を支える社内サイト、インターネットに公開するWebサービス、いずれのシステムにおいても、その基礎部分にはWebサーバ(以下サーバ)が存在します。万が一それらサーバが停止すれば、社内業務の停止、あるいはサービスの停止により大きな損失を招くでしょう。
事前にサーバ不調の兆候がわかっていれば、早めの対策を打つことができます。そのために必要なのが「サーバ監視」です。サーバ監視とは、サーバの状態を「監視システム」を組んで常に見守り、突然の停止などを前もって防ぐためのしくみです。監視システムの基本的な動作としては、サーバの負荷状況をグラフとして表示させたり、負荷がある一定の値を超えると担当者に通知をしたりといったものになります。監視システムの構築に使うツールとしては、Zabbix、Nagios、Sensuなどが代表的です。
サーバ監視の課題
監視システムの構築・運用は多くの場合、社内の情報システム担当者が担当することになります。社内サイトならまだしも、ビジネスとして複数のWebサービスを展開する企業ですと、そのサービスごとにサーバが存在し、監視対象が社内で乱立することになります。加えて、監視システムにも当然サーバが必要ですので、万全を期すなら、「 監視システムのための監視システム」を構築・運用する必要性がでてきます。
また近年は、インターネット越しに「サービス」としてコンピューティングリソースを利用する「クラウドサービス」が一般的になってきました。クラウドサービスにおいてはサーバを柔軟に増減することができるので、サーバ監視はより複雑になり得ます。
新しいサーバ監視のカタチ「Mackerel」
そんな課題を解決するために開発されたのが、SaaS型のサーバ監視サービス「Mackerel」です。SaaS(Software as a Service)とはクラウドサービスの一形態で、「 G-mail」や「サイボウズ」など、ソフトウェアの機能をおもにブラウザからインターネット越しに利用できるサービスです。Mackerelを使うと、自分が管理しているサーバの状態を、ブラウザから色鮮やかなグラフとして確認できます(図 ) 。
図 Mackerelのグラフ例
SaaSのため、監視システムの構築・運用はMackerel側が行ってくれるので、サーバ監視担当者の負担を減らすことができます。またMackerelでは、監視対象のサーバ群を「ロール」「 サービス」といった概念でグルーピングできるので、複雑なサーバ環境を簡潔に監視できます。加えてMackerelは各種クラウドサービスの監視にも対応しており、現代のサーバ事情にマッチしたサービスと言えます。
はてなの技術・ノウハウが詰まったMackerel
Mackerelの開発元は、「 はてなブログ」「 はてなブックマーク」などを展開する株式会社はてなです。Mackerelは、それら巨大Webサービスを支えるサーバの監視のために開発された、社内システムがもとになっています。日々膨大なアクセスをさばくサーバ群を支えてきた技術のため、信頼度はピカイチと言えるでしょう。
ちなみに、「 Mackerel」は鯖(サバ)を表す英単語で、サーバ→サバ→Mackerelという名前の由来があります。
『Mackerel サーバ監視[実践]入門 』はそのMackerelの入門書ですが、Mackerelの使い方に限らず、サーバ監視の基本知識や、はてなのエンジニアが培ってきたサーバ管理全般のノウハウについても学べる1冊となっています。本書を手に、ぜひサーバ監視の課題を解決してください。