統合開発環境のトレンド
統合開発環境(IDE)とは簡単に言えば、プログラム言語を使ってプログラムをコーデイングするためのエディタと、そのプログラムの実行環境が1つになったツールです。大きなプログラムを部分部分で動作検証するのに長けており、またバージョン管理やチーム開発をサポートする機能も付属しているので、大規模なシステムを扱う昨今の開発現場では、非常に重宝します。
IDEのラインナップとして、C#やVisual Basicを使ったWindows系の開発では「Visual Studio」が、Swiftを使ったiPhoneアプリ開発では「Xcode」がメジャーですが、Javaといったそのほかの言語を使った開発では選択肢が多く、「Eclipse」が第1の候補として長らく有名でした。そんな中、JavaのIDEとして最近注目度が上がっているのが、「IntelliJ IDEA」です。
IntelliJ IDEAとは
IntelliJ IDEAは、チェコにあるソフトウェア開発会社JetBrains社が開発したIDEです。Eclipseのように、機能を自分で追加して自分好みのIDEにカスタマイズしていくというよりは、最初から機能がそろっており、そのまま使い始められるという特徴があります。
IntelliJ IDEAの一番の売りは、強力な補完機能です。コードを書いていると、IDE側が「空気を読んで」くれ、次に書くべきコード片の候補を提案してくれます。その候補を選んでいくと、いわゆる「おまじない」と言われる長いコードも、少ない操作ですばやく完成させられます。この機能には単に作業時間やタイピング数を短縮できるという効果もありますが、何より、開発において本来人間が行うべき作業――アイデアの実現やアルゴリズムの表現――に集中できるようになります。頭に浮かんだ処理をすぐにコードとして記述し、実際に動くプログラムとして完成させられるので、開発が楽しくなること間違いなしです。
Scala、Ruby、PHP、今話題の「Kotlin」にもピッタリ
IntelliJ IDEAはもともとJava開発のために作られたIDEですが、ScalaやGroovy、Androidアプリ開発のプログラミング言語として新たに加わった「Kotlin」を書くにも適しています。Kotlinの開発元はJetBrainsですので、相性は抜群です。
またJetBrainsが開発するIDEにはIntelliJ IDEA以外にも種類があり、Python用の「PyCharm」、Web開発用の「WebStorm」、PHP用の「PhpStorm」、Ruby用の「RubyMine」などがあります。これらは「JetBrains IDE」と呼ばれ、すべて同じ操作感で使うことができます。たとえばふだん、IntelliJ IDEAでJavaを書いていて、新たに業務としてRubyを書く必要性が出てきても、IntelliJ IDEAに慣れていれば、RubyMineも同じように使いこなすことができるのです。
IntelliJ IDEA日本初の入門書
IntelliJ IDEA、JetBrains IDEはユーザフレンドリーなIDEながら、ほかのIDEとはやや勝手が違い、使いこなせるようになるにはある程度練習が必要です。『IntelliJ IDEAハンズオン』は日本で初めての、IntelliJ IDEAとJetBrains IDEの入門書です。小さなコードを書きながらIDEの操作感に慣れ、本格的な開発にも対応できる機能の使い方を習得できます。JetBrains IDEの販売代理を行う会社の社長と、日本で一番IntelliJ IDEAに詳しいエンジニアによる共著となっています。本書によると「手に馴染んだときの使い勝手の良さは、比類するものを探すのが難しいくらい」のIntelliJ IDEAに、ぜひ入門してください。