近年、人工知能(AI)という言葉がマスコミを騒がせています。そのAIの実現手段のひとつが「ディープラーニング」です。このディープラーニングがどんなものかを見てみましょう。
次の図は数字1と2を表しています。われわれ人間には、すぐにわかります。
しかし、人があたりまえと思っている判断を、機械に行わせようと思うと、困難を極めます。大きさも筆跡も濃淡も、変化に富んでいるからです。
実際、20世紀までは、文字や図形の識別に対処する理論の作成は挫折の連続でした。その理由はコンピューターに教え込もうとする論理をとったからです。たとえば、手書きの数字「2」をコンピューターに認識させようとするとき、「『2』とはこのような特徴を持ったもの」と教え込もうとしたのです。しかし、「教え込む」には、現実はあまりに複雑です。字の形があまりにも多様すぎるからです。
ところが、20世紀末になって画期的な方法が開発されしました。ニューラルネットワークと呼ばれるアルゴリズムです。動物の神経細胞を真似た人工ニューロンを積み重ね、ネットワークを作ります。そして、そのネットワークにたくさんの数字を読ませ、自ら学習させるのです。
ニューロン
ニューロンをまねた人工ニューロン
この方法は大きな成功を収めます。特に、ニューラルネットワークを多層に構造化した「畳み込みニューラルネットワーク」と呼ばれる手法を用いると、人や猫ですらも、写真や動画の中から認識できるようになりました。ディープラーニングとはこのようなしくみで実現されたAI(人工知能)なのです。ちなみに、ディープラーニングは深層学習と直訳されます。
この画期的なディープラーニングのしくみを理解するには、大学レベルの数学の知識が必要になります。数学の知識を通してディープラーニングをしっかり理解したい人は『ディープラーニングがわかる数学入門』をぜひお読みください。
一方で、高校生や、数学があまり得意でない大学生・社会人で、AIのしくみをもっとやさしく知りたいという方は、『Excelでわかるディープラーニング超入門』がおすすめです。この本では、むずかしい計算をExcelに肩代わりしてもらい、動かしながらディープラーニングのはたらきやしくみを知ることができます。初めてのAI学習におすすめです。