サーバ/インフラをめぐる技術トレンドはこの10年で大きく変化しています。
特にクラウドサービスの普及により、システム構築にはクラウド環境の利用が当たり前の選択肢として提案される時代になっています。
仮想化・クラウド技術の進歩により、物理サーバの構築や運用業務は減っていき、いずれサーバ技術者は不要になるのではないかという主張もあります。
とはいえ、現役で稼動しているオンプレミスのサーバを保守・運用していく業務は、にわかに退潮する様子はありません。既存の運用をやめて新しい技術に切り替えることは、返ってリスクの高い選択となるため、維持され続けるレガシー環境が現実には少なくないのです。
また、カスタマイズの柔軟性、セキュリティ基準の高さ、システム連携のしやすさなどを理由に、オンプレミスに回帰するトレンドがあるというレポートもあります。当面、オンプレミスとクラウドは、個々の要件に応じて比較検討の上で選択される状況が続くでしょう。
サーバ運用の効率化のため、自動化技術も進歩してきました。しかし、自動化ツールを作るためには、運用の手順が確立されていなければなりません。どのような設定を行うのかなど、基礎技術に熟練している必要があります。
技術の進歩によって、確かにサーバ構築・運用の経済的・時間的コストは削減される傾向にあります。それと相対するように、サーバ技術者は、企業システムがマルチプラットフォーム環境技術によって複雑さを増す状況にさらされています。つまり、企業の要請により、Linux、FreeBSD、商用UNIXなど複数のサーバOSへの対応が必要とされているのです。
また、複数OSへの対応とともに、DNSやメール、WWW、DBなどの基本サーバ、SSHやSSL、IPsec、ファイアウォール、IDSを含むセキュリティ技術など、ソフトウェア、レイヤーが多層的・重層的になります。仮に事故やトラブルが起きたときに、問題の調査・検証に必要となる知識・技術力は膨大です。
現在のサーバ技術者は、レガシー技術から最新技術動向、多分野技術まで幅広い対応・熟練が求められており、それは重要なポジションにいるということです。
「28日で即戦力! サーバ技術者養成講座」では、骨太の運用技術スキルを身に着けていただきたく、サーバ構築・設定から実践的に広範囲の技術を学べるようなカリキュラムを構成し、改訂のたびに記述を積み上げてきました。今回の第3版ではCent OS 7.4をベースに記述し、あわせて紹介しているサーバアプリケーションのバージョンをアップデートしました。また、新単元として、FreeBSDやSolarisなど複数サーバOSの詳解を加えました。OS、学習環境の自動インストールパッケージも新たに提供することにより、個別のサーバアプリケーションの選択学習にも専念できるようになっています。