なぜ正しいコードの記述方法が求められるのか?
今更ですが、「ホームページ」と「ウェブページ」はどちらも同じインターネット上の情報をウェブブラウザで閲覧するページのことを指します。
ただし、「ホームページ」は本来ならブラウザを起動した際の最初に表示されるページのことを指しているのですが、それに関連するウェブサイト全体をホームページと呼ぶことが多くなりました。便利な言葉ですが、本来の意味を重視し、「ウェブページ」「ウェブサイト」といいたいところです。
現在のように、ウェブページ上で動画やアニメーションのような動的なコンテンツがあまりなかった時代を、仮に「ホームページ時代」と表現すると、ホームページ時代はオリジナリティあふれるさまざまなホームページ作成ソフトやブラウザが多くありました。膨大なツールがあり、しかもデザインやコードの書き方がまちまちで、統一の記述方法がない……。
決められた規則がない状態でそれぞれオリジナルのコードの記述をすると、以下のような弊害が生まれます。
- 同じサイトのページなのに、別々の担当者が制作すると、見た目が揃わない
- 担当者が替わった際に、手直ししようと思ってもどこを書き換えたらよいかわからない
- 仮に書き換えがうまくいったとしても、ブラウザが変わったらデザインが崩れてしまう
- ブラウザそれぞれで、ページの表示自体が別ものになってしまう
- 画像が表示されない(リンク切れ)、文字が読めない(文字化け)
- etc...
どこをどう直したら正解になるのかわらかない状態では、作りなおしたほうが早いという結論になります。
しかしながら、シングルページや数ページのサイトであればそれも可能ですが、膨大なページをブラウザに合わせて作り直す手間やコストを考えると……この手間を減らす方法を考えると思います。
ウェブで情報を受け取る側としては、どのブラウザ(Google Chrome、Safari、Microsoft Edge、Firefoxなど)でも同じように情報が表示されることが一番です。誰でも読みやすく、そして情報を受け取りやすいウェブの統一規格が求められたのです。
そこで、インターネット上の規格を取り仕切るW3Cなどからウェブの仕様を統一する「ウェブ標準」という規格が勧告されます。勧告なので、この取り決め以外のウェブページを作ったら閲覧できないというわけではないのですが、ウェブ標準に沿ったコードの書き方をすると、ほぼ主要なブラウザはこの規格に沿っているので同じような見た目で表示できるのです。
HTMLとCSSの記述方法を正しく、しっかり身につける
このホームページ時代の記述方法から脱却するために、現在ウェブ制作に携わる人は、ウェブ標準を基にコードを書くのが常識です。さらに閲覧する側に配慮したウェブページの記述方法を身につけることも大事です。
ウェブページは一部の技術者やそれに関わる業種の人間だけではなく、いまや子供からお年寄り、老若男女を問わず閲覧できる電子媒体です。また、パソコンのみならずスマートフォンやタブレットなど、ウェブページを閲覧する機器も多様化しました。閲覧する人たちの条件はさまざまですが、極力同じように閲覧できるように文字の読みやすさや色の見え方などのユーザビリティ(閲覧しやすさ)や、欲しい情報が得られやすくするアクセシビリティ(使いやすさ)にも気を配る必要があります。
ここまで述べたように、これからサイト制作やウェブデザイン業界に就職したい、あるいはそこで活躍したい人にとっては、ウェブ業界のルールに沿ったコードの書き方を身につけることは必須条件です。
本書「書きながら覚える HTML&CSS入門ワークブック」はその中で、ウェブページを構成する一番のベースとなるHTMLとCSSの記述方法を学ぶ書籍です。HTMLとCSSの役割分担を明確にし、業界標準に沿ったコードを実際に記述して、ブラウザでの表示を確認しつつ学びます。基礎をしっかり身につけることで、応用力がつきます。実際に現場の第一線で活躍する著者が、やさしくこのベースが身につくよう、基本的な記述から、応用的な記述方法まで段階を追って解説しています。かわいい&わかりやすいイラスト解説も必見ですよ! 「わかった!」の実感が味わえる一冊としておすすめします。