IT業界の技術トレンドの移り変わりは、ほかの産業と比べても一段と激しく、とくにここ5年間の変化にはめざましいものがあります。
クラウドの浸透
一番大きな変化としては「クラウド」の台頭が挙げられるでしょう。クラウドとは簡単に言うと、システムを動かすための「インフラ」をサービスとして提供しているもので、これを利用することで開発者は、従来手間がかかっていたインフラの準備、運用管理から解放されることになります。クラウドではインフラのほかに、データベースや開発環境など、インフラの上で動かすシステムそのものを提供するサービスもあり、開発工程の短縮に大いに役立っています。
最近では、システム立ち上げの際にはまず始めにクラウドの利用を検討する「クラフドファースト」、そもそもクラウドしか念頭に置かない「クラウドオンリー」といった言葉も出てくるなど、この分野は今後もますます発展することでしょう。
AIがついに現実のものに
IT技術者以外の人にも身近に感じられる変化としては、機械学習に代表されるAI技術の発展があるでしょう。スマートスピーカー「Google Home」やiPhoneに搭載されている「Siri」とは、まるで人間と話しているように会話できますし、囲碁のプロを人工知能が打ち負かしたというニュースは記憶に新しいでしょう。こういった製品、ソフトウェアを実現しているのが「機械学習」です。
機械学習とは、たとえば何千時間といった人間の音声や何千枚といった画像をコンピュータに読み込ませることで、人との会話や画像の判別といった作業の精度を少しずつ上げていく技術で、ここ2,3年で急速に伸びてきた分野です。
変わらない基礎技術
こういった変化の激しいITの世界ですが、変わらず大事であり続けるものもあります。
たとえば、コンピュータの上でソフトウェアはどのように動いているのかというOSの知識、コンピュータ同士はどのように通信をしているのかといったネットワークの知識、プログラミングに必要なアルゴリズムの知識などです。IT技術者にとってこれらの知識は普段の仕事の基礎となるもので、それこそコンピュータというものがまったく別のものに取って代わらない限り、必要であり続けます。
IT業界の5年を追ったSoftware Design総集編
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