オープンソースソフトウェアとは
オープンソースソフトウェア(Open Source Software:OSS)とは、コンピュータプログラム(ソースコード)の使用や修正、再配布などは自由に行われてもよいとする考え方であり、それに基づいて公開されているソフトウェアを指します。
具体的には表1に挙げるようなものがあり、昨今のITシステム開発では、OSSはなくてはならないものになっています。日本OSS推進フォーラムのWebサイトで公開されている「OSS鳥瞰図」では、大分類だけでも11種類(「デスクトップ・業務アプリケーション」「Web/APサーバ」「データベース」「運用管理」「Webサイト構築」「ビッグデータ、AI」「OS、仮想化、クラウド」「検索、分散処理」「開発支援」「セキュリティ」「ファイルサーバ/メールサーバなど」)が挙げられており、多種多様な分野で活用されているのがわかるでしょう。
表1 代表的なOSS
分類 | 名称 |
OS | Linux(Ubuntu、CentOS含む)、Android |
プログラミング言語 | Ruby、Perl、Python、PHP |
Webサーバ | Apache HTTP Server、nginx |
アプリケーションサーバ | Apache Tomcat、JBoss、GlassFish |
仮想化環境 | KVM、Xen |
統合開発環境(IDE) | Eclipse、NetBeans |
データベースサーバ | MySQL、MariaDB、PostgreSQL |
データ処理 | Hadoop |
ファイルサーバ | Samba |
OSSのライセンスとは
まず、OSSであるための前提条件は、ソフトウェアが一定の条件のもとに自由に「改変」と「頒布」できることが挙げられます。その一定の条件がOSSライセンスに書かれています。
また、OSSライセンスは「寛容型」と「互恵型」に大別できます(表2)。寛容型ライセンスは、極めて単純な事柄を守れば自由な改変や頒布が認められるものです。互恵型ライセンスは、寛容型ライセンスに比べてより強くソフトウェア開発情報の共有を志向したものです。
表2 寛容型ライセンスと互恵型ライセンスの比較
| 寛容型ライセンス | 互恵型ライセンス |
代表的なライセンス |
- MITライセンス
- BSDライセンス
- Apacheライセンス
|
- GNU General Public License(GPL)
- GNU Lesser General Public License(LGPL)(※)
- Mozilla Public License
|
ライセンス表記・著作権表記 | 自由な改変が許されると共に、多くの場合ライセンス表記、著作権表記をすれば自由な頒布が許される。さらに場合によっては、ライセンス表記も著作権表記も求められないこともある | 自由な改変が許される。自由な頒布も許される。しかし、寛容型ライセンスでは求められない事柄がある。ライセンス表記、著作権表記などが求められる場合が多い |
頒布に伴うソースコード開示 | ソースコード開示しなくてよい。ただし、ソースコード開示を禁じているわけではない | ソースコードなどの開示を求める。同時に、改変した部分のソースコードなどの開示も求められる。こうすることによって、改変した部分も含め利用者間の互恵的な関係を実現しようとしている |
ライセンスの継承 | 改変した部分について、改変の対象となったOSSのライセンスを継承することを求めていない場合もある。ただし、ライセンスごとに条件が異なるため一概には言えない | 改変した部分について、多くの場合、オリジナルのOSSのライセンスと同様なライセンスで利用許諾することを求める。これも互恵的な関係を構築するための手段のひとつとなっている |
訴訟の発生状況 | 訴訟の事案はほとんど知られていない | いくつかOSSの不適切な利用に起因する訴訟が起きている |
利用するにあたっての責任 | 利用するにあたっての責任がライセンサー(開発者、開発コミュニティなど)には一切ないとしている。この条件はほぼすべてのOSSライセンスで共通している。結果として、利用にあたっての責任はすべて使う側にあると考えるべき状況となる |
※ LGPLはバージョン2までは「Library GPL」の略でしたが、バージョン2.1以降は「Lesser GPL」の略とされています。
今後、IoT(Internet of Things)機器が普及すれば、数百万台から数百億台というオーダーでOSSが各デバイスで使われるようになってきます。その際には、OSSライセンスを正しく理解して、正しく利用する必要があるでしょう。
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