IDEのデファクトスタンダード

IDEって?

IDEって言葉を聞いたことはありませんか? IDE(Integrated Development Environment)を直訳すると「統合開発環境⁠⁠。なにやら難しいものに感じますが、簡単に言うと、⁠ソフトウェアを作るためのソフトウェア」です。

元来、ソフトウェアを作る際には、まずテキストエディタなどの文字入力ができるソフトウェアでソースコードを作り、次に、ソースコードをコンピュータに理解させるための「コンパイル」という作業(コマンドラインからコンパイルコマンドを入力するなどといった作業)を行い、バグが発生したら「デバッグ」と呼ばれる作業などと、作業ごとに別々の環境が必要で、それぞれに必要なコマンドを覚えたり、手入力する必要がありました。

しかし、単にユーザーが求める機能を搭載したソフトウェアを作るだけではなく、使いやすさやわかりやすさといった操作性までも要求される近年では、エンジニアの負担が増大し、如何に効率よく開発を行えるかが重要なテーマとなりました。

そこで登場したのがIDEなのです。IDEには、開発に必要なテキストエディタをはじめ、コンパイルやデバッグを行うツールがすべて含まれており、IDEがあれば、一つの開発環境でソフトウェアを作ることができます。これが統合開発環境なるゆえんなのですね。

図A これまでの開発環境と統合開発環境の違い
図A これまでの開発環境と統合開発環境の違い

JavaとIDE

ソフトウェアの制作には、プログラム言語が必要不可欠です。その中でも、1996年に登場した「Java」は、現在でも世界中で絶大な人気を誇るプログラム言語として有名です。Javaが登場したときのスローガンは、⁠Write once, run anywhere(一度プログラムを書けば、どこでも実行できる⁠⁠」であり、OSなどのプラットフォームに依存しない「マルチプラットフォーム」対応である点が、大きな特徴でした。そして、Javaは、世界中のエンジニアに利用されていくと同時に、Javaで利用できるIDEの必要性が求められることになります。JavaのIDEはいくつかありますが、その中でも、2001年11月にリリースされ、現在も世界中の多くのJavaエンジニアに利用されているIDEが、⁠Eclipse」なのです。

IDEと言えばEclipse

EclipseはJavaと同様に、Windowsをはじめ、Linux、MacOSといった著名なOSに対応しており、他のIDEよりも多くのプラグインが利用できる点が特徴です。プラグイン(Plugin)には「差し込み式」などといった意味があり、プラグインを利用すれば、Eclipseの機能を拡張することが可能です。Eclipseでは、1,000以上のプラグインが利用できるのですが、これはIDEとしての拡張性の高さを意味すると同時に、エンジニアを強力にサポートし、作業効率を高める大きな武器となります。また、プラグインによって、エンジニア各々のEclipseをさらに自分好みのIDEとしてカスタマイズできる点も、Eclipseが多くの開発者に指示されている理由の一つと言えます。さらにEclipseは、単にIDEとしての歴史が古く、実績があるだけでなく、CやC++、JavaScript、PHPといった、Java以外のプログラム言語のIDEとしても利用可能です。つまり、Eclipseは、まさしくIDEのデファクトスタンダードと言えるソフトウェアなのです。

新人エンジニアとEclipse

これからプログラム開発を始めてみようという皆様はもちろんですが、⁠IT業界に就職したけれども、実はこれから初めてプログラムを勉強する」といった方も、プログラミングの習得と同時に、Eclipseでできることを知っておくと便利です。また、上司や先輩に「このプログラムをテストして」⁠アプリケーションをビルドして」と言われても、実は手順をきちんと把握していない、そもそもビルドの目的やテストの意味がよくわかっていない」となどといった新人エンジニアの皆様も決して少なくないと思われます。すでにEclipseを使って開発を行っていても、Eclipseがもつ豊富な機能のほんの一部しか使っていないとか、いつも同じアイコンやボタンを使っているだけといった方は、是非Eclipseが持つ多くの機能を知ってください。開発効率が一段と向上するだけでなく、スキルアップにもつながります。

最後にそんなニーズに応えた書籍を紹介します。これからプログラミングを始める方も、すでに始めている方も、JavaエンジニアのためのEclipse パーフェクトガイドでEclipseでできることをさらっと知っておきましょう。