『60分でわかる! ディープラーニング 最前線』
自動運転とお掃除ロボット
昨今、さまざまな分野で人工知能は目覚ましい発展を遂げています。人工知能というと、人間のような感情を持ったロボットを製作するための研究をイメージする人も多いかと思いますが、現状では、これまで人間が行っていた作業を機械にやらせようという研究のほうが盛んです。
たとえば、身近な例としては、自動車の自動運転やお掃除ロボットなどがあります。自分で運転しなくても目的地まで移動できたり、帰宅したら家がきれいになっていたりしたら助かりますよね。これらの技術や製品は、新聞や雑誌などで見かけることが多くなってきたので、興味がある人も増えてきたと思います。
ネコとパンの違いは?
このような人工知能のブームは「第3次人工知能ブーム」と呼ばれていますが、このブームのきっかけとなったともいわれているのが「機械学習」とよばれるものです。機械学習は、人間が普段行っている学習能力をコンピューターでも実現しようというものです。
たとえば、人間は自分が見ているものがネコなのかパンなのか簡単に見分けることができます。しかし、これまでのコンピューターでは、ネコの画像なのかパンの画像なのかを判定することは非常に困難でした。ネコやパンの特徴をコンピュータに1つずつ教える必要があったからです。しかし、機械学習の「ディープラーニング」という手法を使うと、コンピューターが自分自身で大量の画像データの中から特徴を見つけ出し、ネコの画像かどうかを判定することができるようになりました。
毎日の献立を考えるのが楽になる「料理きろく」
インターネットの分野では、このディープラーニングを使ったアプリやサービスが増えてきています。とくに画像を使ったものは飛躍的に便利になってきました。
そこで、今回はディープラーニングが身近に使われている例として、料理レシピのウェブサイトとして有名なクックパッドの「料理きろく」というスマホアプリの機能を紹介します。
「料理きろく」は、スマホに保存されている写真の中から料理の写真だけを自動で選び出し、クックパッドアプリに取り込む機能です。クックパッドで見て調理したと思われるものを推測してレシピを記録してカレンダー形式で表示してくれるので、何の料理を食べたのか、どのレシピを見たのかがひと目でわかります。
「料理きろく」では、スマホの中に保存されて写真の画像が料理画像かどうかを判定し、料理画像の場合はカレンダーに表示しています。この料理画像かどうかを判定するしくみにディープラーニングが使われています。具体的な処理の流れは以下のようになっています。
- (1)スマホに保存されている写真画像をクラウド上のサーバーにアップロード
- (2)料理画像かどうかをディープラーニングを使って判定
- (3)結果をスマホに通知
- (4)料理画像をカレンダーに表示
「料理きろく」を使えば、「今日の夕食は何にしようかな」と思ったときに、ささっと確認すれば、最近食べていない料理などが見つかるので、意外と便利です。使い方は簡単です。クックパッドアプリをインストールし、メニューから「料理きろく」をタップするだけです。画面の指示に従っていくと、利用できるようになります。