『[イラスト解説]ティール組織 ―新しい働き方のスタイル』
日々生き生きと働いていますか?
平成31年4月から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が実施されます。「働き方改革」の目指すものとして、厚生労働省は、
“我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。”
と示しています。長年にわたるデフレ、今ひとつぱっとしない景気の中、ブラック企業の問題、社会階層の二分化など、日本社会を揺るがす問題が明らかになっているのは皆さんご存じのとおりです。
いまこそ働き方を変革することで、停滞を払拭したいと誰もが考えているのではないでしょうか。しかし日本だけではありません。グローバル化した経済の影響下で同じように「働き方」をどうするのか、世界中で研究・検討されています。その1つの解決策が『ティール組織』です。
ティール組織とは何か?
そもそも企業とは何か、それは端的にはビジネスを通して利益を得る組織と言えます。フレデリック氏は、旧来からのトップダウン型の企業をレッド(衝動型)組織、軍隊・カトリックの教会のように官僚組織化した企業をアンバー(順応型)組織、産業革命以降の物質主義の企業を、オレンジ(達成型)、現代的な家族主義の企業をグリーン(多元型)組織と分類しました。さらに、フレデリック氏は、世界中の先進企業20数社を研究・調査し、その共通点を見いだしました。それは「個人と集団の解放」「エゴの抑制」「全体性の希求」です。これらを実践している企業をTeal(ティール:青緑色)型組織と名付けました。
ティール組織の具体例とは?
本書『[イラスト解説]ティール組織 ―新しい働き方のスタイル』では、オランダのビュートゾルフという介護組織を例に、ティール組織論を解説します。地域医療を支えて急成長し、当初はオレンジ型の官僚的組織になりましたが、その運営方法に生きがいを感じられなくなった現場の看護士達が大量にやめていく事態になりました。そこで、看護士・患者本位の体制に作り直したところ、皆が人間性を取り戻し、さらには医療費の削減などたいへんな成功を収めたというものです。本書はこうした事例だけでなく、教育や工場の現場など、さまざまなシーンでのティール組織のあり方を解説していきます。
本書の冒頭で、人間の進化は段階的なものではなく、突発的なものだと説明していますが、まさに既存の考え方にこだわるのではなく、進化型の働き方がさまざまな問題を解決するのかもしれません。実はこうした進化は、日々の労働の中から人間性を取り戻す過程で生まれるということが推察されます。本書の帯で推薦文を書かれた社長の皆さんも、無意識にそれを実践されているようです。日本もまだいけます!