手を動かしながら⁠楽しくマスター!

『ゼロからよくわかる! Arduinoで電子工作入門ガイド』

Arduinoとは?

「電子工作」と聞いて、どういったイメージが浮かぶでしょうか? 自分の思った通りの機械を作れたら楽しそうな反面、少し難しそうと思う人もいるかもしれません。しかし、Arduinoを使えば、手軽に電子工作をはじめることができます。

Arduinoは、あらかじめ基盤の上にマイコンをはじめとする様々な電子部品が乗っかっているワンボードマイコンの一種です。2005年にイタリアで生まれ、初心者でも簡単に扱えることから世界中に広まりました。電子工作に用いられる人気のマイコンの一種としては「Raspberry Pi」もありますが、こちらは超小型のLinuxマシンなので、Linuxを扱ったことがない人だとセットアップなどに少しまごつくかもしれません。対してArduinoはセットアップにまったく苦労しないはずです。Arduinoを制御するためのプログラム(⁠⁠スケッチ」と呼ばれます)を作成するための開発環境「Arduino IDE」をパソコンにインストールすればほぼ終了です。簡単に使いはじめることができます。

なお、Arduinoには大きさや搭載しているマイコンの違いによっていくつかの種類があります。一般的に書籍などで扱われるのは「Arduino Uno」という種類で、たばこの箱より少し小さいくらいのサイズのボードに、マイコン(ATmega328⁠⁠、電子部品を接続するためのピンソケット、USBポート、それらをつなぐための回路などが搭載されています。

イルミネーションや扇風機も自作できる!

Arduinoで実現できることは多岐にわたります。例えば人感センサーとLEDランプを組み合わせることで「人が近づくと光るイルミネーション」を作ったり、或いは温度センサーとモーターを組み合わせれば「気温が高くなると回る扇風機」も作れたりします。

理屈は簡単です。Arduinoのピンソケットにはそれぞれ番号が振られています。基本的な考え方としては、ピンの番号を指定して、そこに電気を流すか(出力⁠⁠、電気が来るのに反応させるか(入力⁠⁠、いずれかプログラムするだけです。上記の例でいえばイルミネーションを光らせたりモーターを回したりするために電気を流すのが出力にあたり、人の接近や気温の上昇に反応したセンサーから電流を受け取るのが入力に当たります。

もちろん、Arduinoに書き込めるプログラムはただ電気を流す・電気に反応するなどという単純なレベルにとどまりません。それでは上記のような仕組みはそもそも作れません。条件を指定したり、時間の調節を行ったり、電圧に強弱をつけたり、複雑な挙動を指示することができます。これこそ、Arduinoの真骨頂といえるでしょう。

もしArduinoがなければ、上に挙げたイルミネーションや扇風機は自作できるでしょうか。乾電池などの電源に部品をつなぐだけではもちろんダメです。そもそもセンサーを組み合わせることもできないので、ただランプが光るか消えるか、モーターが回るか止まるかという物凄く単純なものしか出来上がりません。Arduino以外のマイコンを使えば同じことはできるかもしれませんが、Arduinoが扱いやすいことは述べた通りです。少し込み入ったものを自作したいなら、Arduinoの右に出るものはいないでしょう。

はじめてプログラミングする人も、IoTに挑戦したい人も

Arduinoは扱いが簡単で、色々なアイデアを実現させてくれます。とはいえ、さすがにいきなりArduinoだけ手に入れても何をしたらいいのかわからないでしょう。ゼロからよくわかる! Arduinoで電子工作入門ガイドでは、様々な作例を作りながらArduinoの基本的な使い方を解説していきます。はじめての人のためにプログラミングは初歩的な概念を押さえながら進み、部品の扱いや接続もイラストを豊富に用いてわかりやすく説明します。作例の中には上に挙げたイルミネーションや扇風機のほか、Twitterと連携したスイッチといったIoT的なものもあります。何もかもゼロからはじめる人も、さらにスキルを磨きたい人も、本書でArduinoと仲良くなりましょう!