現場で活躍できる機械学習エンジニアになるための第一歩

機械学習エンジニアとは

世界的なトレンドとして、AIを活用した社会がどんどん進む中、それを実現する機械学習エンジニアが圧倒的に足りていません。ここでいう機械学習エンジニアとはいわゆる研究開発(R&D)を担当するエンジニアではなく、機械学習を用いたアプリケーションの開発・運用という実務に取り組むエンジニアを指します。つまり、機械学習そのものの理論の研究ではなく、世の中の一般のユーザが実アプリケーションとして使用する機能を開発し、運用しながらその精度を改善していくことをミッションとしたエンジニアです。

機械学習エンジニアの仕事とは

機械学習をアプリケーションとして活用するには、大きく4つのステップが必要です。

  • データの集め方から設計・検討し、データ自体を準備する
  • データに対して分析や前処理を行う
  • 機械学習のアルゴリズムを用いてモデルを作成する
  • 未知のデータに対して予測を行う
機械学習の4ステップ
機械学習の4ステップ

これらのステップに関わるのが機械学習エンジニアの仕事と言えるでしょう。

機械学習エンジニアになるために学ぶべきこと

まずは「機械学習のできること」を理解するべきです。⁠機械学習はどんな課題を解決することが得意なのか?⁠⁠、そのためにはどんなステップがあり、⁠それぞれのステップでどのような知識が必要なのか?」といった全体像を理解することが、機械学習エンジニアになるための最初の1歩になります。しかし、機械学習を学ぶことに対するハードルが高いことから、なかなか最初の1歩目を踏み出せずにいる方が多い印象です。

本書の位置づけ

そこで、機械学習エンジニアの1歩目として「Pythonで機械学習にふれて、できることを体感してもらうこと」からはじめた方が良いと考え、Pythonによるはじめての機械学習プログラミングを執筆するに至りました。いま目の前にあるデータから意味を見出し、ビジネスにインパクトを与えたいのであれば、理論を学ぶことからスタートする必要はありません。本書ではあえて理論的な部分は詳しくふれていません。それは「勉強になった」で終わって欲しくないからです。この想いから、具体的なデータを扱う方法を提示しながら手を動かす実践的な内容となっています。

本書の対象読者は具体的には下記のような方を想定しています。

  • データ解析や機械学習というワードに興味があるが、何から勉強したらいいのかわからない方
  • インフラ、Webアプリやネイティブアプリなど、機械学習以外てエンジニアとして業務経験があり、次のステップとして新たに自分の技術領域を広めてみたい方
  • プログラミングをしながら、機械学習のできることを体感したい方

逆にプログラミング「超」初心者の方や、すでに機械学習をプロフェッショナルに活用されている方は読者としては想定していません。まずは Pythonという便利なツールを用いて、本書でデータにふれながら機械学習の面白さを体験してみてはいかがてでしょうか。

島田達朗(しまだたつろう)

Connehito株式会社に所属。
コネヒトを創業し,日本の3人に1人のママが使うアプリ「ママリ」を開発。現在はAWSを中心としたインフラや自然言語処理を用いた機械学習基盤の構築に従事 。博士(工学)。
Twitter:@tatsushim