動詞ではなく名詞を起点に画面を構成する ~OOUIでソフトウェアを使いやすく

  • 「あれ? どの入口から始めればいいんだっけ?」
  • 「ん? さっきと似た画面だけど、どこがちがうんだろう? ここでできるんだっけ?」

なんらかのソフトウェア――ビデオカメラの操作画面やモバイルアプリやお仕事用のWebシステムを使っていて、そんなふうに感じたことはないでしょうか。大雑把に言えば「わかりにくいなあ」という問題ですが、もう少し細かく言うと手順がわかりにくい、覚えにくい、忘れてしまった、という問題です。

この問題の原因は、画面(ユーザーインターフェイス)がタスクを起点にして作られていることです。そして、この問題の解決法はオブジェクトを起点にして作ることです。

と言ってもなんの話かわからないと思うので、図をご覧ください。図1がタスクを起点にしたものです。図2がオブジェクトを起点にしたものです。どちらも同じ機能を実現しています。11あった画面がたった1つ(シングルページアプリケーション)になっています。

図1
図1
図2
図2

それだけでもびっくりしますが、さきほどの問題も解決しています。「入口」は1つですから迷いません。「似た画面」もなにも画面はそもそも1つです。この画面ですべてができるのですから「ここでできるんだっけ?」なんて疑問も生まれません。

これを実現する設計メソッドが、オブジェクト指向ユーザーインターフェイス設計(OOUIデザイン)です。

タスクではなくオブジェクトを起点に画面を構成する。もっと一般的な言葉を使うと、「動詞(やること)」ではなく、「名詞(もの)」を起点に画面を構成する。たとえば「本を買う」であれば、「買う」ではなく「本」を起点にする。これだけのことです。ごくシンプルですよね。

ところがじつはシンプルにすることこそが大変です。多種多様な名詞や複雑怪奇な動詞を扱うソフトウェアを使いやすくするには、いくつかの名詞を別の名詞にまとめ直したり、隠れひそんでいる名詞を探し出したり、時には動詞であったものを名詞に置き換えたり、といった工夫が必要です。決して簡単ではありません。

というわけで本書『オブジェクト指向UIデザイン ――使いやすいソフトウェアの原理』の出番です。オブジェクト指向ユーザーインターフェイス設計について基礎から説き起こし、実践法をステップバイステップで解説し、さらには18の実践演習を用意しました。実際に考え、手を動かし、試行錯誤し、このメソッドをぜひ身につけてください。