企業利益と顧客ニーズを両立するためには

なぜプロダクト開発に失敗するのか

プロダクトというと「製品」「サービス」の双方を指すようになりはじめているいま、仕事で何らかのプロダクトに関わっている方々は多いと思います。個人でプロダクトを開発する方も増え、たとえばアプリストアを覗けば、さまざまな分野のアプリ(=プロダクト)が生み出されているのを見ることができるでしょう。

しかしどんなにユーザーに寄り添ったプロダクトを作っても、黒字になるしくみがなければ、ビジネスとしては失敗です。また反対に、利益を出すシステムを精密に作ったとしても、肝心のユーザーが集まらなければ、やはりこれもビジネスとして継続できません。

では、どうするべきか? これを解決するものとしていま、⁠プロダクトマネジメント」という手法が注目を集めています。

「作る人にも使う人にも価値のあるプロダクト」を作るには

プロダクトマネジメントは、

  • 「ユーザーにとって、価値のある製品をつくる」
  • 「自社にとって、利益をきちんと得られるビジネスにする」

プロダクトマネジメントは、上記の課題を乗り越えプロダクトを成功に導く方法論です。その要件の一部を以下にご紹介します。

ユーザーが抱える問題の仮説を立てる

プロダクトの企画段階ではリサーチからスタートし、⁠ユーザーにとっての問題は何か」⁠それを解決するためには、どんなプロダクトを作るべきか」などを探ります。次にそれに基づいて、⁠だれかがほしがるもの」「自分が作れるもの」の2つの要件を、きちんと満たす企画を立てます。

最小限の機能セットから始める

立てた企画が正しいかどうかは、プロダクトを完成させない限りわかりません。⁠使われないリスク」「開発が無駄になるリスク」を回避するためには、最小限の機能セットを備えたMVP:Minimum Viable Productから開発を始め、軌道修正が柔軟におこなえるようにする必要があります。

ユーザーの利用状況を把握する

利用状況をモニタリングするしくみがなければ、問題が発生したとしても察知できません。また利用状況を把握できていても、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定していなければ、プロダクトの継続的な改善にはつながりません。

エンゲージメントを獲得する

ユーザーの可処分時間には限りがあり、その中で自身のプロダクトに時間を使ってもらうためのアプローチを考えなければなりません。習慣を形成させる仕掛けである「HOOKモデル」を利用したり、あるいはゲームの要素をプロダクトに取り入れる「ゲーミフィケーション」などを活用しましょう。

プロダクトの認知を獲得する

良いプロダクトが完成したとしても、ユーザーが認知する機会を生み出さない限り、プロダクトマネジメントはうまくいきません。そのためには、プロダクトの機能価値と利用価値を十分に知り、マーケティングの知識を活用しながら、能動的に動く必要があります。

エコノミクスを成立させる

赤字にならずにビジネスとしてプロダクトを成立させるためには、まずCAC(顧客獲得コスト)やLTV(顧客生涯価値)といった概念について理解します。そのうえで、この「LTV/CAC」を最低1以上にし、さらに成長への道筋も見えている状態、⁠プロダクトマーケットフィット」を生み出すことが重要です。

ゼロから始めるプロダクトマネジメントでは、いまご紹介した流れに沿い、⁠中学2年生のたかし君がアプリを個人開発する」というストーリー仕立てで、易しくプロダクトマネジメントの基本を学んでいきます。個人開発が題材ではありますが、どんな規模であっても、⁠作る人にも使う人にも価値のあるプロダクト」の基本は同じです。プロダクトマネージャーに限らず、⁠良いプロダクトを作るために何をすべきか?」が気になる方は、ぜひお手に取ってみてください。