「ゲームデザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ふだんからビデオゲームやボードゲームをプレイしている方にとっては馴染み深い言葉かもしれません。文字通り「ゲームの設計」を意味する言葉ではありますが、これだけでは具体的なイメージが湧きづらいかもしれませんね。
ゲームデザインとはいったいどんな仕事なのか、本稿ではちょっとだけ掘り下げてみましょう。
「ゲームデザイン」という仕事をひとことで
実は、ゲームデザインという仕事は次のひとことで表せます。
ゲームデザインは「ゲームをおもしろくする」仕事である。
ここで注意したいのは、「おもしろいゲームを考える」仕事ではないということです。すなわち、今まで誰も見たことのないような斬新なゲームの企画を作ったり、そのためのゲームシステムを考えだしたりする仕事ではないのです。そういった「ゲームの企画立案」はもちろん重要な工程ですが、ゲームデザインの本質ではありません。
あくまで、ゲームを開発するチームメンバーとともに、一歩一歩ステップを踏みながら、ゲームをおもしろいものへと作り上げていく作業こそが、ゲームデザインなのです。
ゲームデザインには手順がある
さらに具体化していきましょう。ゲームデザインは実務的な作業ですから、どのように進めていくべきかという「手順」があります。最初に行うのは「ゴール設定」、そのゲームで達成したいことをはっきりと定義する最も重要なステップです。それに続いて、ゴールを実現するために具体的になにを作るかの「アイデア出し」を行います。そこで出たアイデアをもとに、チームメンバーにそれを作ってもらうよう「発注」し、メンバーとコミュニケーションをとりながら「実装」を進めていきます。そして最後に、できあがったものを仕上げるための「調整」作業を行います。
ゴールを見据えたアイデアをもとに発注から調整までのサイクルを繰り返すことによって、ゲームをおもしろくしていく。これがゲームデザインという仕事なのです。
ゲームをおもしろくしたい、すべての人に
ゲームデザイナーの仕事というのは以上に尽きるのですが、もちろんそれぞれのステップを遂行するためのノウハウがあります。ゴールをどのように設定しチームに浸透させるのか、アイデアを出すための前提条件をどう整理し、出たアイデアをどう取捨選択するのかといったことです。さらには、チームを引っぱっていくためのリーダシップもゲームデザイナーには求められます。
こうしたノウハウは、ゲーム開発の現場でさえなかなか身に付けられるものではありません。ましてや、これからゲーム開発に携わりたいという夢を持つ人にとってはなおさら難しいのが実情です。
そこでご紹介したいのが、『ゲームデザインプロフェッショナル ―誰もが成果を生み出せる、『FGO』クリエイターの仕事術』という書籍です。本書では、ここまで説明してきたようなゲームデザイナーという仕事の本質から、それぞれのステップにおける実践的なノウハウ、さまざまな状況に対応するためのリーダーシップ術、そしてゲームデザイナーとしての力を磨くための方法まで、現役クリエイターの視点から解説されています。
著者の塩川氏は、本書のなかで「100点を目指すために、80点まで誰にでもとれるようにするため」に筆を執ったと述べています。80点という「及第点以上」に達するためのノウハウが、誰にも身に付けられるよう、体系だってまとめられている。そんな本書があればこそ、ゲーム開発に携わる誰もが100点を目指すための残りの部分に注力できるようになる……これが本書の狙いなのです。ゲームをおもしろくしたい、すべての人におすすめの一冊です。