「IT担当者」という言葉を聞いて、みなさんはどのような人をイメージするでしょうか。
- パソコンに詳しい人
- 社内のシステムを管理する人
- システムを開発する人
さまざまな人を連想するかもしれませんが、どれも間違いではありません。実際に、IT担当者としての仕事は多岐にわたり、会社によっても定義はバラバラです。大企業では「情報システム部門(情シス)」や「社内SE」であったり、ベンチャー企業などでは「コーポレートエンジニア」といった職種名で括られたりもします。しかしここでは、あえてそれらの言葉を用いず、「IT担当者」と表現します。
まだIT部門を設けるほどの会社規模でもなく、エンジニアとして名乗るほどの専門知識もない状況でも、ある日突然、社長や上司から「社内のITの面倒を見てほしい」と依頼されて困っているような方が、この国にはたくさんいるはずです。
今どき、「パソコンもメールも一切使わずに仕事をしている」といった会社はほぼ存在しないでしょう。中小企業では潤沢な資金もないため、専任のIT担当者の雇用や外注が困難で、ITの専門知識を持たない従業員にIT担当を任せるケースも少なくありません。
IT担当者を任されたものの、いったい何から学べばいいのか。このように右も左もわからずに困っている方々の助けになるような本を作りたい。そういった思いから『基礎からのIT担当者リテラシー』を執筆しました。
本書は、エンジニアとしての業務経験やITに深い知識を持つ方ではなく、「会社の規模が大きくなりはじめて社内にIT担当者を置く必要性が高まり、それを任された零細~中小企業のIT未経験の従業員」や「会社を起ち上げ、従業員も少しずつ増えてIT環境の管理が必要になってきたが、具体的にどのようなことをすればいいかわからない経営者」を対象としています。
パソコン選定やネットワーク整備、システム導入などの経験を一切持たない方が、IT担当者として業務を行っていく上で必要最低限となる要素を紹介します。「どのようなキーワードで物事を調べ、学んでいけばいいのか」という足掛かりとなる一冊になることを目的としています。
――本書のはじめにより