ポテンシャルの高い日本のeスポーツ
アメリカや韓国などでは既に市民権を得ている「eスポーツ」。日本国内での盛り上がりは他国と比べてまだまだといったところではありますが、今後の伸びしろが多いとも捉えられるので、今から参入すれば大成功も狙える可能性が秘められているともいえます。
eスポーツは本当に受け入れられる?
eスポーツが今後日本でも受け入れられるかは、一番気になるところではないでしょうか。確かに熱狂的なゲーマー層に現在のeスポーツ市場が支えられていることは否めないので、それがゲーマー以外の客層にも拡がっていくといわれても納得しづらいかとは思います。このことについて、eスポーツの関係者の間では「eスポーツの現状はJリーグ発足前夜にも似ている」という見方もあるようです。それは一体どういうことなのでしょうか。
昭和の時代、球技スポーツでは野球が圧倒的な人気を誇っていました。そのほかの球技スポーツではラグビーの人気が高く、80年代までの学園もののドラマでは高校ラグビー部が物語の中心となることも多かったようです。対して、サッカーは、1968年のメキシコ五輪で日本が銅メダルをとった際に多少盛り上がり、1981年に「キャプテン翼」の連載がはじまって人気の土壌が築かれつつあったものの、人気のスポーツだとはいえない状況でした。しかし、平成の時代になって潮目は変わります。1993年にJリーグが発足されたのです。「ドーハの悲劇」で有名な日本対イラクの1994年ワールドカップ最終予選では、テレビ東京の中継が平均視聴率48.1%をたたき出しました。その後、国内サッカー業界は2002年の日韓ワールドカップに至るまで右肩上がりの成長を遂げます。
上記の国内サッカーの軌跡と似た道を辿ることができれば、eスポーツが一般の客層に受け入れられる未来も確かにあり得るでしょう。なお、何の根拠もなくこのような見方がされているわけではありません。国内のeスポーツ市場は着実に右肩上がりで成長しており、ファン層も若年層を中心に拡大していることをふまえれば、可能性は十分にあるといえるでしょう。eスポーツが国内で普及した未来を「希望的観測である」と簡単に切り捨てられるような状況でなくなっているのは確かです。
ビジネス以外でも可能性は秘められている
eスポーツが世間で話題に挙がるとき、ビジネス活用の側面が強調されるケースが多いように思われます。しかし、eスポーツに秘められた可能性はビジネスに限ったことではありません。
たとえば、教育の現場ではeスポーツを部活動として採用する動きがあります。特に定時制や通信制の高校などでeスポーツの部活動化は多く、さまざまな事情を抱えた生徒でも部活動に参加しやすい環境が整えられつつあるといわれています。また、物理的な事故の危険性が少なく、顧問が常時立ち会う必要がないことから、教員の負担を減らすという点でも注目を集めているようです。部活動の教員負担は社会問題化するほど深刻であるため、eスポーツの部活動化は全日制の高校でも議論する価値はあるのかもしれません。
そのほかの分野では、医療福祉現場でのリハビリへの活用も進んでいます。身体能力が影響しにくいことと、結果が見えやすく自己肯定感を得やすいことが、その理由です。eスポーツは健常者と障がい者が公平に競える場を提供できるため、障がい者が社会参加するきっかけとなることも期待できます。
上記以外にもeスポーツを活用できそうな分野は数多く存在しています。発想次第で可能性は広がると思いますので、弊社発行の「60分でわかる! eスポーツ 最前線」を通じてeスポーツの世界に触れ、活用のためのヒントを得てみてはいかがでしょうか。