3Dアニメーションを作るには、Mayaや3ds MAXなどのプロツールが有名です。これから「プロになるぞ!」という方は多少高額でも導入することに躊躇しないと思いますが、自分がこの分野に向いているか、ちょっと試してみたいという方にとって、Mayaなどは敷居の高いソフトになるのではないでしょうか。
Blenderはどんなソフトか?
Blender(ブレンダー)は、無償ツールとしてプロも使用するオープンソースソフトウェアです。世界中の有志が集まり開発をし、ユーザーが使いやすいように、また、実現したい機能を追加し、常に進化し続けている珍しいソフトです。
3Dモデルを作るだけなら、他にも無償ソフトはあるのですが、アニメーションまで作れるソフトはBlenderくらいではないでしょうか。無償でありながら、3Dモデルの作成からマテリアル(質感、テクスチャ)の設定、ライティングやカメラを配置してボーンを入れたアニメーションをレンダリングして書き出すまで、プロツールに引けを取らない充実した機能を備えています。
有志がやりたい機能を実現するために日々奮闘しているソフトなので、商用のソフトよりも柔軟性があって、より面白い機能が盛り込まれているというところも魅力のひとつです。
進化するBlender
2012年に本書の最初の一冊である「ブレンダーからはじめよう」を発行しました。そこで解説に使用したのがBlender 2.6というバージョンでした。
今回の改訂版では2.9を使用して解説を行っています。正直にいうと、2.6ではツールやメニューの場所がわかりにくく、操作を行うにもショートカットキーを多用しなければなりませんでした。
2.6から2.9までに約8年の歳月がありましたが、メニューやツール、プロパティエディターなどのユーザーインターフェイスが各段に改善され、コマンドを思い出すのに時間が掛かっていたときと比べ、他のソフトウェア同様に直観的に操作しやすくなっています。
より使いやすくなったBlenderで3Dキャラクターアニメーション作り
Blenderは、クオリティが要求される商用のゲームや映画の3D制作では少し力不足なのですが、3D制作の最初の一歩を踏み出すためのツールとして十分すぎるほどの機能を備えています。無償でここまででき、なおかつ3D制作に必要な最低限な機能と操作性なので、Mayaなどの本格的なプロツールを学ぶ前に、とりあえず作ってみたいという方には、導入しやすいソフトとしておすすめできます。
本書で解説しているBlenderの操作は、ほんの入口にすぎませんが、Blenderに搭載されている機能を使うことで、さらに凝ったアニメーションも作ることができます。
ビデオエティターでストリップを編集
ボーンを操作してアニメーションを作る
ただ、はじめからゲームや映画のような3Dアニメーションは作れません。3Dソフトとはどんなものか? 3Dモデルの作り方は? アニメーションの作り方は? というように段階を踏む必要があります。その3Dアニメーションをはじめたい方の最初の一歩として、本書がその手助けになれたらと思っています。とりあえずここからはじめてみて、より魅力的な3Dアニメーションが作れるようになるとこを祈っています。