「DX」という言葉は、今ビジネスの場でもよく聞く言葉です。ですが、では実際に「DX」って何?と聞かれると、答えるのが難しい人も多いのではないでしょうか。
「DX」とは、「デジタルトランスフォーメーション」のことです。これはただ単に仕事をデジタル化して効率化するだけでなく、テクノロジーによってビジネスモデルそのものを変革することを指しています。最近話題になることの多い、リモートワークなどもDXの一端と考えてもよいでしょう。
ビジネスモデルの変革、というと大それたことのように聞こえ、「自分の仕事はDXとは関係ないから……」と思う人もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。テクノロジーの発達はさまざまな業種、分野に関わってきます。いくつかの業種の例を紹介しましょう。
たとえば、食品産業では、「フードテック」という取り組みが注目されています。飲食店ではテーブルごとにQRコードを使用した注文や会計がシステム化されつつあります。顧客が店舗の近くを通った際にクーポンを送信するサービスも登場しており、来店誘導もデジタル化されていく試みがあります。食材の販売も、今後はより家庭でのスマート家電を使った調理に合わせたものの需要が高くなるでしょう。
土木建築業における例としては、人工衛星やドローンを使用した測量や、工事、検査にいたるまで、無人で制御できるような技術の開発が進んでいます。ほかにも、小売業も品出しから在庫管理、レジ作業までロボットが行う無人店舗の登場や、店舗で商品を試してもらって購入自体はWeb上で行うオムニチャネルの展開などが進んでいます。このように、身近なところでも様々なDXが見られるのです。
どの業種であれ、このまま旧態依然としたビジネスモデルを続けていれば、これからの時代で生き残っていくことは難しいでしょう。日本は特に、レガシーシステムがDX推進の妨げとなり、世界的に見てもビジネスモデルの変革が難しい状況に陥っています。経済産業省が発表したDXレポートにもある「2025年の崖」という言葉は、このままDXが進まず日本経済が停滞すれば、2025年以降に大きな経済損失が発生するだろうということを示しています。
DXを進めるためには、この先、社会でどのような課題が生まれるのか、そして自分たちのビジネスはその課題にどうアプローチできるかを今一度考えることです。自社にとっては慣れ親しんだ技術やシステムが、他社から見れば非常に役立ち、導入したいものであることもあるでしょう。また、自社のブランドイメージやこれまでの人脈を活かすことで、新しいビジネスの展開の可能性が生まれることもあるでしょう。
新規事業を進める際には、スタートアップに出資する形でスタートすることも有効な手段です。これからの時代のスピード感で成長し業界のゲームチェンジャーとなり得るのは、やはり既存企業よりもスタートアップです。また、新しい商品やサービスを展開する際には、クラウドファンディングなどを利用してテストマーケティングすることで、効率よく開発を行うことができるでしょう。
今もテクノロジーは着々と進歩しており、今後もAI技術の進化やスマートグラス、ディープテックなど様々な分野が目まぐるしく発展していくと考えられます。『60分でわかる! DX最前線』では、DXの基礎知識や最新テクノロジー、未来の展望などの話をわかりやすく、コンパクトにまとめました。この1冊を読んで、ぜひ、この先のビジネスのあり方を考える参考にして頂ければと思います。