Unityは「ゲーム開発の民主化」を目指して開発されたゲーム開発エンジンで、最近ではビジュアルスクリプティングエンジンも正式に組み込まれるなど、日々進化を続けています。
また、ゲームに限らず医療や各種イベントなどさまざまな分野で幅広く活用されており、昨年は開発元のUnity Technologies社が米国で上場するなど、その勢いは留まるところを知りません。
魅力いっぱいのUnityですが、新しいことを始めるには心理的・物理的な壁が立ちはだかります。その壁を少しでも取り払うべく、ここではUnityによるゲーム開発のオススメポイントをいくつか紹介します。
パソコンひとつあれば、誰でもゲームを作れる
本書『作って学べる Unity 本格入門』の著者の賀好昭仁氏は、子供のときからゲームが好きでしたが、それはあくまで遊びのひとつでした。「ゲームを開発してみたい」という漠然とした思いを持っていましたが、真剣に考えておらず、両親からは「現実を見ろ」といわれてきたので、一般のIT企業に就職しました。
しかし、業務向けのゲームをUnityで作る案件がたまたま舞い込んできたことで、人生が大きく変わりました。
ゲームを遊ぶ側だった人間が、Unityを使うことによって、拙いながらもゲームを作れたのです。そこから現在に至るまで、複数のゲームを開発・リリースしてきました。
Unityは収益が1000万円以下の個人であれば、ほとんどの機能が無料で使うことができます。さらに、他の人が作った素材やゲームシステムを購入できるストアが準備されており、そこでは無料のものもたくさん配布されています。
文字通り「パソコンひとつあれば、誰でもゲームを作れる」のです。
図 Unityでのゲーム開発の様子
趣味の時間をスキルアップの時間に昇華できる
昨今のコロナ禍で家に居る時間が増え、必然的にインドアの趣味で消費する時間も増えました。そこでクリエイティブな趣味として、ゲーム開発を取り入れてみてはいかがでしょうか。
Unityで使用するC#は、扱いやすいプログラミング言語で用途も幅広く、プログラミング言語の人気ランキングで5位に位置しています(出典:TIOBE Index 2021年10月のデータ)。
また、ゲームにはグラフィックも重要です。プログラミングからグラフィックまでさまざまな分野を学べるUnityは、IT関連の幅広いスキル習得にも適しています。
自分の思い通りの世界を作り上げ、たくさんの人に遊んでもらい、笑顔になってもらう。そして、気がついたら自身のITスキルも向上している、Unityを趣味のひとつにすることができれば、楽しみながら自己研鑽を続けていくことが可能になります。
そして、Unityを使うようになれば、ゲームで遊ぶことを「勉強」と称することもできるのです(もちろん「勉強」だけじゃなく、手を動かすことも大事です!)。
図 ビジュアルスクリプティングエンジン「Bolt」
夢を描ける
インターネットやスマートフォンの登場によって、個人であっても大きな夢を描けるようになりました。
たとえば、筆者が尊敬する個人開発者の方は、Unityで開発したゲームで数百万ダウンロードを叩き出しています。個人でも大企業と同じ土俵で戦えるわけです。
もちろん、全員が成功するわけではありません。また、開発は楽しいことばかりではなく、大変なこともたくさんあります。ただ、自分の好きなことであれば、困難にも立ち向かえますし、身につけたスキルは他のさまざまなことに活かせます。
大きな夢にチャレンジしつつ、小さな夢への積み重ねもできてしまう。それがUnityです。
いかがでしょう。みなさんUnityに少し興味が湧いてきましたでしょうか。
『作って学べる Unity 本格入門[Unity 2021対応版]』では、3Dアクションゲームの制作を通して、Unityを基礎から理解できます。また、筆者の経験を元に初心者が陥りがちなトラブル解決法なども盛り込んでいます。
みなさんもこの本をきっかけに、「Unityという深淵」に、ぜひ足を踏み入れてみてください。