子どもは理科が嫌い?
子どもの理科、数学嫌いはよく聞くと思います。国際教育到達度評価学会が行った「国際数学・理科教育調査」では、小学生、中学生の成績は国際的にもトップクラスであるにも関わらず、理科や数学が好き、将来関係する仕事に就きたいと思っている生徒は国際的に最低レベルだそうです[1]。
ただ、数学は買い物の計算などで使うので日々の暮らしの中で必要。その点、理科は日常では必要な場面がないので、理科のほうがより必要性を感じないそうです。嫌いというよりは、興味がない…というところでしょうか。さらに、高学年になればなるほど、化学、物理、生物など細分化され、数式や化学式、グアニンとかヒポキサンチンって何のこと?というように覚えることが山のように増えていきます。これが理科嫌い、理科離れを引き起こしている要因ということなのです。このままでは研究者、技術者が減ってしまうというこで、国も学習意欲向上のため対策に乗り出しています[2]。
科学法則は身近なもの
勉強がともなうとどうしても難しいものと思われがちですが、科学(理科)は言わずと知れた身近な物や現象の仕組みを学問というかたちで表したものです。国際宇宙ステーションはなぜ落ちてこないのか、あんなものどうやって空に打ち上げているのか、そもそもどうやって造っているのか…のような疑問を持ったところから科学の入口に立っているのです。
興味を持って周りを見渡せば、あらゆる現象が科学という枠の中にあることを実感できるのではないでしょうか。その中でも科学法則は、日常生活、産業などに活用されています。本書を読むと、実は身近にあふれる科学法則は日頃からお世話になっている、ということをあらためて気づくきっかけになると思います。
本書では、現在知られているほんの一部を紹介しているだけにすぎませんが、10個の法則、原理を解説しています。隕石は運ぶ機会はそうそうないと思いますが、滑車を使って重い物をかんたんに運ぶことのできる「仕事の原理」、へこんだピンポン玉をもと通りにする「シャルルの法則」、間違って打ってしまった釘を楽に抜く「てこの原理」など、覚えておいて損はありません。
科学がより身近に楽しくなる、子どもから大人まで幅広く楽しめる本です。発売1カ月たらずで増刷が決まりました。続編も現在検討中です。よりにぎやかになる商店街も楽しみにしていてください。