AIとは  〜昔のAIと現在のAIは違う?

AIは万能ではない

昨今テレビなどで「AIの分析によると〜」などという言葉を、やたらに聞くようになりました。この表現だと、AIは何やら万能の道具のように思えます。皆さんは、AIについてどのようなイメージを持っているでしょうか?

「AI」とは、⁠Artificial Intelligence」の略で、⁠人工知能」とも呼ばれます。人工知能というと、SF映画に出てくる人間のような意識を持つロボットを思い浮かべる人がいるかもしれません。ただし、このような意識を持つロボット(AI)は、⁠汎用型AI」と呼ばれ、概念としては存在しますが、現在の技術ではまだ実現していません。

AIの得意なこと、苦手なこと

現在のAIは、⁠特化型AI」と呼ばれる、人間が行っている特定の知的処理を自動化するプログラムです。AIが活躍している分野としては、画像解析、翻訳、為替予測などがあります。最近話題のイラスト生成プログラムもAIによるものです。

特化型AIでは、入力されたデータの識別、過去のデータに基づいた予測、識別や予測に基づいた実行の、3つの処理を行います。自動掃除ロボットに搭載されているのもAIですが、前述の処理に当てはめると、椅子やテーブルを識別し、動く経路を予測し、その予測に基づいて掃除を実行しています。

AIが人間より得意なことは、⁠大量データの処理」⁠作業の高速化」⁠作業精度の維持」です。一方、仮説を立てたり、⁠何のために分析するのか」と考えることはありません。感情を理解したり、相手に働きかけたりすることも苦手です。また、人間の身体には、沢山のセンサーがあり、⁠何となく気配を感じる」というような感覚を覚えることがありますが、コンピュータに人間の身体に匹敵する量のセンサーを搭載することは不可能なので、身体感覚が必要な作業も苦手です。

現在のAI

過去に何度かAIブームと呼ばれるものがありました。現在は、第3次AIブームとされています。過去のAIブームのときは、AIは限定的な知識しか獲得できないという限界に直面し、ブームが終焉しています。

一方、現在のAIでは、コンピュータが自ら大量のデータを学習するというアプローチを取ることで、AIの活用の幅が広がっています。現在のAIブームの重要な概念として「ニューラルネットワーク」「ビッグデータ」があります。ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)を模したプログラムモデルです。また、ニューラルネットワークで学習するには、大量のデータが必要になりますが、インターネットの発達や、それに伴うSNSの浸透により、こうした大量のデータを確保できるようになりました。

ニューラルネットワークの技術として、⁠機械学習」と呼ばれる、コンピュータに学習させて精度の高い判断をさせようとするデータ解析技術が用いられています。なお、機械学習にも様々な手法があり、目的によって用いられる手法が異なります。