フロントエンド開発を支えるUIフレームワーク
Svelteの魅力

UIフレームワークの役割

Webシステム/Webアプリケーションの開発では、フロントエンド側とバックエンド側を分けて開発することが一般的です。フロントエンドにおいては、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が重要な要素となっており、多くの開発現場でUI/UXの開発をサポートするさまざまなフレームワーク/ライブラリが活用されています。たとえばJavaScriptを使ったフロントエンド開発では、Vue.js、React、Angularといったフレームワークがよく知られています。

これらのフレームワークでは、UIを構成する要素を再利用性の高いコンポーネントとして開発します。そしてコンポーネントやフレームワークの機能を活用し、効率的かつ迅速にアプリケーションのUIを構築します。一貫性のあるデザインやUXを提供するためのガイドライン、開発のベストプラクティスといった情報も提供されるため、複数の開発者が協働する現場でも統一感のあるUI/UXを実現しやすくなるでしょう。こうしたガイドラインに従うことは、再利用性だけでなくメンテナンス性の高いコードを記述することにも繋がります。

Svelteとは

Svelteは、バージョン1.0が2016年にリリースされた比較的新しいJavaScriptフレームワークであり、近年人気が高まっているものの1つです。2023年6月には、最新バージョンのSvelte 4がリリースされました。

Svelteの特徴として、作成したUIコンポーネントをランタイムなしで実行可能な形に変換する「コンパイル」機能の存在が挙げられます。Svelteで記述されたソースコードは、アプリケーションをビルドする際にコンパイルされ、最適化されたJavaScriptコードに変換されます。これによって実行時にフレームワークのランタイムが必要なくなり、軽量かつ高速なWebアプリケーションを構築できます。

また、UIにおいて重要な状態管理を、特別な記法や関数などを使うことなく記述できる点も大きな特徴です。たとえば変数への代入をトリガーにデータの変更を検知し、自動的にUIを更新するリアクティブなアプローチが採用されているため、データ変更に合わせて手動で再描画の処理を記述する必要はありません。

Svelteの構文は、通常のHTMLやJavaScriptに近いシンプルかつ強力なものです。HTMLのタグや属性を使用してUIコンポーネントを記述し、JavaScriptを使用してロジックを追加します。既存のWeb技術に慣れ親しんでいる開発者にとってはなじみやすく、初学者にも直感的に理解しやすいものと言えるでしょう。こうした特徴や、公式ドキュメント/チュートリアルの充実から、学習コストが比較的低いフレームワークとも言われています。

2022年12月には、SvelteをベースとしたWebアプリケーションフレームワーク「SvelteKit」のバージョン1.0もリリースされました。SvelteがUI開発部分をサポートするのに対し、SvelteKitは、Webアプリケーション構築のために必要なUI以外のさまざまな機能を提供します。


実践Svelte入門は、Svelteを利用したコンポーネントベースのUI開発と、SvelteKitによるWebアプリケーション開発の両方をわかりやすく解説した入門書です。Svelteの基礎から始まり、発展的な機能を使ったリッチなUIの実現、実践的な機能を備えたWebアプリケーションの開発についても丁寧に解説しています。Svelte/SvelteKitについて学びたいフロントエンド開発者にお勧めの1冊です。