Salesforce活用のススメ ~ビジネス成長を支えるこれからのIT基礎教養~

世界No.1シェアを誇るCRMの管理者

Salesforceは実に10年連続で世界No.1のCRM(顧客管理システム)プロバイダーに選出されている企業であり、製品です。

また、Salesforceのプラットフォーム上で動作する拡張アプリケーションも含めると、Fortune500にランクインする企業のうち81%もの企業に利用されていますIDCの調査による⁠。皆さんが所属している企業や、クライアント企業、パートナー企業では、すでにSalesforceが活用されているのではないでしょうか?

技術者だけのものではないSalesforceの仕事

また、前述のIDCの調査によると、2019年から2024年の間にSalesforceは日本で24.6万人以上の雇用を生み出すと予想されています。

この雇用はSalesforce社の社員だけでなく、Salesforceを利用する企業のSalesforceシステムの管理者や、業務改善の推進者、導入支援企業のコンサルタントなどを、間接的な雇用創出も含めた数値となっています。現役のSalesforce管理者に経歴を聞くと、IT部門出身者だけでなく、営業担当や営業アシスタント、マーケターや経営企画など、実にさまざまな出自の方々がいます。

Salesforceの管理者という仕事には、もちろんユーザ管理などのシステム管理作業が含まれます。しかし、Salesforceサービスは今はやりのローコード開発プラットフォーム(クリック操作でシステム改変が可能なアプリケーション構築サービスのこと)としての側面も持っているため、IT未経験者がアサインされることがとても多いのです。

営業改善やDX推進など、ビジネス成長を目指す企業で働く皆さんにとって、もはやSalesforceはIT基礎教養と呼べる時代がきているのかもしれません。

Salesforceでビジネスの何を支えているのか

Salesforceというのは会社名でありつつ、同社が販売している製品サービスの総称でもあります。中でも、最もポピュラーな製品はその名の通り営業力(Sales+force)を高めるクラウド型のソフトウェアサービス(SaaS)です。俗にいうSFA(Sales Force Automationの略。営業支援システム)というカテゴリの製品が注目されており、営業や営業マネージャーが商談の受注活動を効率的に管理・実行するための機能を提供しています。

ほかにも、Salesforce社の主力製品としては、商談を獲得するまでの集客に効果を発揮するマーケティング支援機能受注後の満足度を高めることに効果を発揮するサポート支援機能などがあり、顧客と接点を持つ活動全般を支援するためのサービスが提供されています。

これにより、ランディングページや問い合わせフォームによって見込客情報を集め、見込客へのキャンペーン展開や電話・メール等の営業活動から商談を発掘し、商談の進捗を管理して営業マネージャーと一体で受注を勝ち取り、アフターサービスの手配や問い合わせの対応を管理して満足度を高め、リピートの注文や紹介の獲得につなげる、という一連の流れを構築できます。業種業態関係なく必要とされる領域のサービスと言えるでしょう。

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Salesforce活用のためのヒント

製品の軸となっている考え方や機能(標準)を理解しよう

Salesforceは製品も機能も豊富で進化も早く、とてもすべてを把握することはできません。しかし、Salesforce製品が想定する洗練された業務プロセスやマネジメント手法、そのために利用する主要な機能、管理するデータの構造といった標準的な仕様は、長年にわたって大きく変わっていません。こうしたSalesforce標準を理解することで、多くの事例といった情報や目先の最新機能といったものに溺れることなく、皆さんの会社の業務を一歩一歩変えていくイメージが掴めるでしょう。

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共通のゴールを見て社内のメンバーと対等な関係を築こう

管理者の仕事は作業者の立ち位置に陥りがちです。Salesforceの利用ユーザである社内メンバーからの問い合わせや要望をこなしたり、経営陣やマネージャーからの要求でデータをレポートやグラフにして抽出したり……。

こうした作業に追われるばかりになると、ビジネスの成功というゴールへと目線を上げられません。日常業務を効率化して時間を生み出し、要求通りに作業するのではなく、ビジネス課題について議論して、優先的なタスクを着実に実行していくコントロールが必要です。皆さんはSalesforceを通じてビジネスの改善や変革を実行するのに不可欠な担当者です。貴重な自身のリソースを価値の高い活動に集中させましょう。

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“なんちゃってDX”による負債を抑制しよう

Salesforceに限らず、以下のようなDXの課題はあとを絶ちません。

  • 「ITツールを導入したけど、限定的な使い方しかできていない……」
  • 「改善しようにも技術的な負債だらけで、手を入れることが難しい」

課題の検討が甘い中で、営業担当者や営業マネージャー目線の要望をただ受け止めて作り込んでいくと、本来回るはずのPDCAサイクルが回らず、甘い計画(Plan)とシステム変更(Do)だけを反復することになります。解決すべきビジネス課題の合意と、作り込む機能の価値(アウトカム)を合意するプロセスを整備することで、効果の出ない作り込みや技術的負債の積み上がりを抑える必要があります。

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「攻める」管理者を目指そう

一般的なシステム管理者の仕事というのは、今動いているシステムが利用できる状態を維持していく“守り”の仕事のイメージが強くあります。しかし、Salesforce管理者の仕事は異なります。会社で新しい商品やサービスの提供が開始されたり、従業員が増加して組織体制の考え方が変わったり、社員の職種と評価指標が変わったり……。こうした会社の事業成長にともなうビジネスイベントには、Salesforce管理者の力が必要です。商品が増えターゲット顧客が増えれば、もしくは変われば、デジタルを活用した効率のよい営業手法が必要でしょう。従業員が増えてくれば、勤怠や経費・申請といった業務システムを統合する必要があるかもしれません。評価指標が変われば、それを達成するための中間KPIを集計分析するためのしくみも求められてきます。

このように、事業の成長を目指すにあたって、会社が設定した戦略を日々の業務に落とし込み、実行を管理できるしくみが不可欠です。Salesforce管理者が目指す“攻め”の仕事は、まさにこういったものになっています。

成果を生み出すためのSalesforce運用ガイドでは、学び方のポイントから機能の理解、業務の効率化、チーム・組織での取り組みまでを解説します。Salesforceの使い方にとどまらず、現場で必要な知識に焦点を当て、公式のリソースや資格勉強だけでは学べない“実践としてのSalesforce”を扱います。

Salesforce管理者だけでなく、ユーザとして使っている方、Salesforceに関心がある方、キャリアのひとつとして考えている方など、少しでも気になっている方々に読んでいただきたい内容となっています。

ぜひ、お手に取ってご覧いただき、“攻め”のSalesforce管理者を目指しましょう!