日常がちょっと楽しくなる⁠背伸びしないお絵描きのはじめ

こんなの描けるかぁ~~~~! (心の叫び)

心を掴まれるようなイラストとの出会いは、日常にあふれています。⁠私もイラストを描いてみたい!」と一念発起。鼻息を荒くして本屋に向かった経験、あなたにもあるのではないでしょうか(私はあります⁠⁠。

……そして数日後。

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▲イラストを描きはじめたみなさまの声。

①必要な知識・テクニックが多すぎてワケわからん!
②いつまでたっても完成しなくて疲れ果てました。
③自分のヘタさに恥ずかしくなってきた……。

となって挫折した苦い過去、ないでしょうか(私はあります⁠⁠。

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▲そしてこれである。

私たちが普段目にするイラストは、⁠プロ」が描いたものがほとんど。そのウラガワには、想像を絶するような努力があるはずです。よくよく考えてみても、一朝一夕でそのワザが身につくワケがないですよね。

では、⁠プロみたいな上手いイラスト」を描くことを、最初から潔く諦めてみてはどうでしょうか?

本書で紹介するのは、徹底的に目標とハードルを下げた「イラストをそれっぽく描くコツ」です。

「それっぽく描くコツ」があるとき、ないとき

例えば、下のイラストを見てください。初心者の心を打ち砕くまさに鬼門、⁠手」の表現です。本人は「頬杖をしている手」を描いたつもりなのですが、どうでしょうか?

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▲虫歯ですか……??

ちなみに私は、歯医者さんの待合室が背景に浮かびました。つらいですね。

次に見比べていただきたいのは、本書で紹介する「それっぽく描くコツ」を駆使したバージョンです。

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▲うーん、アンニュイ。

確かに「超絶技巧」とは言えませんし、解剖学的に「正しい」イラストではないかもしれません。それでも「頬杖をしていること」は、シンプルに伝わるのではないでしょうか。

本書が提案したいのはこのような、⁠最低限伝わる」ということの価値なのです。

それっぽく描くコツ=シルエットに注目する

では、⁠それっぽく描くコツ」とは一体何なのか。それは、「シルエットに注目して描きはじめること」たったこれだけです。例えば先ほどの「頬杖している手」を描く流れは、以下のようになります。

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▲シルエット→アタリ→ディテールの順に描いていく(本書P.101から引用⁠⁠。

詳しくは書籍内で解説しますが、この描き方は「サボって描いてもそれっぽくなる」という強みがあります。つまり、シルエットがしっかり取れていれば、その後に頑張って描き込まなくても「それっぽく」なるのです。

それっぽく描ければイラストは楽しめる!

この方法で、あなたの「理想」を実現できるかはわかりません。ただ少なくとも、イラスト初心者が陥りがちな、あの「挫折ポイント」はクリアできるはずです。

  • ①必要な知識・テクニックが多すぎてワケわからん!
    →ルールが1つだから覚えやすい!
  • ②いつまでたっても完成しなくて疲れ果てました。
    →シンプルだから完成までが早い!
  • ③自分のヘタさに恥ずかしくなってきた……。
    「それっぽく」見えるから恥ずかしくない!

感動したシーンや日常のハプニングを発信・共有したいのであれば、⁠それっぽく」描ければ十分。最低限は伝わります。これはつまり、⁠イラスト」がコミュニケーションの道具として、新たに加わるということ。何だか、ワクワクしてきませんか?

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▲楽しいお絵描きライフが君を待っている!!

「それっぽく」描ければイラストは楽しめます! 背伸びするのをいったんやめて、⁠楽しい」お絵描きライフをあなたもはじめてみませんか?

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藤本広大(ふじもとこうだい)

技術評論社書籍編集部所属。『⁠パワーポイント・デザインブック 伝わるビジュアルをつくる考え方と技術のすべて』のほか、『⁠一気にビギナー卒業! 動画でわかるAfter Effects教室⁠』⁠、『⁠SNSマーケティングはじめの一歩』などを担当。