知的財産(IP)ビジネスに活かす!

コロナ禍以降、動画配信サービスやマンガ配信サービスが新しい娯楽としてすっかり定着してきたなかで、IPビジネスという言葉がメディアやビジネス関連の報道で頻繁に取り上げられるようになってきました。

しかし、それが実際に何を意味し、どのようにビジネスに活用されているのかを正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?

コロナ禍のさなかに公開され、社会現象を巻き起こした「劇場版 ⁠鬼滅の刃』無限列車編」は、身の回りのあらゆる商品とコラボレーションを展開したことも記憶に新しいでしょう。

このように、日本では、世界に誇るアニメやマンガ、キャラクターが次々と生み出され続けており、IPを軸としたビジネスは国内外で大きな経済効果をもたらしています。

ただ、国内市場規模は世界第3位を誇るものの、コンテンツの海外輸出規模は世界全体のコンテンツ市場の数パーセントにとどまっており、発展の途上にあると言えるかもしれません。

こうしたIPビジネスの現状、そして今後IPを軸としたビジネスを推進していくためにはどうすればよいのか、そんな最新のIPビジネスにまつわる知見を、本書の内容から、ほんのさわりだけですが、紹介していきます!

そもそもIPビジネスって?

従来のメディア事業モデルは、ゲーム事業や、アニメ事業などの各事業を軸として、それぞれの売上や利益といった観点でビジネスが評価されてきました。

対して、コンテンツを軸としたIPビジネス(コンテンツIPビジネス)とは、従来のメディア事業モデルと異なり、知的財産権により保護された世界観、キャラクター、作品・ストーリーなどの創作物などのことを指すIP(Intellectual Property:知的財産)の2次利用、3次利用および他社貸与により収益を最大化するビジネスモデルです。

例えば、漫画で創出されたキャラクターや世界観を活用して、アニメ映画、ゲーム作品等を製作することで収益を獲得するだけでなく、IP自体を他社へ貸与することによりライセンスフィーの獲得が可能になるビジネスモデルです。

IPビジネス4つの特徴

1. 独自性
~模倣が困難~

コンテンツIPはクリエイティブな創作物であり、知的財産として保護されているため、他社による合法的な模倣が困難になります。

2. 拡張性
~一粒で何度でも嬉しい~

IPの対象となるような創作物(キャラクターや世界観)は異なるメディアや、IPビジネスの1要素でコンテンツを実現する「土台」「基盤」を意味する「プラットフォーム」へ横断的な移植が容易に行えます。さまざまなプラットフォーム上で複数回流通させる「マルチプラットフォーム戦略」により複数から収益獲得が可能な非常に魅力的なビジネスモデルになります。

3. 効率性
~コストが不要~

自社保有IPを貸与することでライセンスフィーの獲得が可能なので、自社でコストや手間をかけずビジネス展開が可能です。

4. 長期性
~不滅・不老不死~

創作物には寿命がないので、独自性や拡張性により、息の長いビジネスモデルになります。例えば「くまのプーさん」のIP誕生は1924年なので、すでに1世紀の期間にわたり収益を稼ぎ続けていることになります。

本書の特徴

60分でわかる! 最新IPビジネス 超入門は、IPビジネスに関連する事柄を短時間で理解し、自身の仕事や新規事業の創出に役立てられるような工夫をしています。その特長を3つの観点からご紹介します。

1. 短時間で学べる内容

忙しいビジネスパーソンや学生の皆さんに最適な、60分でIPビジネスを基本から学べる内容です。まるで1時間の講義を受けているような感覚で、IPビジネスを理解することができます。

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(本紙P12,13より)

2. 実際のビジネス事例に基づく解説

多くのIPビジネス事例をもとに解説を行っています。実際にどのようなタイプのビジネスが展開されているのか、いくつかのパターンに分類し見ていくことで、ビジネスモデルを掘り下げて学べます。

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(本紙P60,61より)

3. 最新のIPビジネスの動向に対応

AI技術やデジタルコンテンツの進化など、現代のIPビジネスにおける重要なテーマにも触れています。新しい技術や市場動向に対応した知識を手に入れ、未来のIPビジネスを見据えた戦略を学べます。

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(本紙P38,39より)

本書の内容を少しご紹介

こちらでは本書の中から、韓国を例にコンテンツIPビジネスにおけるグローバル戦略をご紹介します。

韓国のコンテンツビジネス

日本のドラマ産業も長年にわたり盛んですが、なぜ韓国と比べて世界市場での影響力に差が生まれているのでしょうか。

Netflixで世界的な視聴率トップを獲得した『イカゲーム』や、2020年に英語以外の作品として初めてアカデミー賞作品賞を受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

韓国は映画・ドラマ・音楽といったメディア分野で、グローバル市場における確固たる地位を築いています。

ここでは、韓国メディアがどのようにしてグローバル市場での地位を確立してきたのか、その変遷を辿っていきます。

韓国メディアの変遷

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(本紙P55より)

1990年代後半の経済危機を背景に、韓国のメディア業界はコンテンツや文化の輸出を産業として確立することを模索しました。2000年代初頭には、アジア各国へのドラマ輸出に成功し、日本でも『冬のソナタ』「ヨン様ブーム」が巻き起こるなど、大きな成果を上げます。その後前述のような、アカデミー賞受賞作品の誕生やグローバル配信でのヒット作が生まれ、アジア以外の地域にも進出し、世界的な成功へとつながっていきました。

こうした成功の背景には、韓国政府の戦略的な支援がありました。2010年代には、韓国政府がコンテンツ産業の振興を目的に「韓国コンテンツ振興院(KOCCA⁠⁠」を設立し、国策として支援を実施します。これにより、制作会社は放送局の下請けから脱却し、企画・制作・販売までを独立して手がける「スタジオ型」のビジネスモデルを確立し、より自由度の高い作品づくりが可能となり、ヒット作が次々に生まれるようになったのです。

韓国の事例からもわかるように、グローバル市場でのプレゼンスを確立するには、長期的かつ継続的な戦略が不可欠であることがわかります。

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60分でわかる! 最新IPビジネス 超入門は、IPビジネス初心者から実務に活かしたい方まで、誰でも理解しやすい内容になっています。本書を読めば、読者のみなさまのニーズに合わせて短時間でIPビジネスの全貌を把握でき、どのようにビジネス展開を行うかを学ぶことができます。

IPビジネスの最新の潮流を知って、ビジネスに活かしましょう!