すべての人に贈るPython学習のすすめ
~データ駆動型社会を生き抜く力を身につける

データから価値を引き出し活用する

現代社会において、データは私たちの生活やビジネスのあらゆる側面に深く根ざしています。オンラインショッピングやSNSでの交流、企業の業務システムなど、私たちが意識する・しないにかかわらず、日々膨大なデータが生成されています。このような状況を背景に、データに基づいて意思決定や価値創造を行うデータ駆動型社会が到来しました。

総務省統計局では、高いデータサイエンス力を備えた人材育成のため、データサイエンス・オンライン講座を開講しています。また、文部科学省の学習指導要領でも、情報活用能力の育成、たとえばデータ分析・活用を通じて課題を解決する力が不可欠とされています。データから価値を引き出し、活用する力は、特定分野の専門家だけでなくすべての人にとって必須のスキルとなっていくでしょう。

Pythonがデータ活用の扉を開く

データ活用スキルの1つとしてぜひ身につけておきたいのが、プログラミング言語「Python(パイソン⁠⁠」です。Pythonはデータサイエンスの分野で広く使われており、その習得はデータ活用のための強力な第一歩となります。

Pythonの魅力は、そのシンプルさと読みやすさにあります。また、Google Colabのようなクラウドベースの実行環境が存在するため、インターネットに接続できる環境があれば、Webブラウザ上でPythonのプログラムを記述・実行できます。

図1 Google Colabの実行画面
図1

データサイエンス分野でPythonの人気が高い理由は、データサイエンス関連ライブラリが充実している点にあります。ライブラリとは、特定の目的のために用意された便利なプログラムの集まりです。代表的なものをいくつか紹介します。

  • NumPy:高速な数値計算を可能にする基盤ライブラリで、大量の数値を効率的に扱えます。
  • Pandas:リスト形式や表形式のデータを扱うための強力なツールです。データの整理、加工、集計、欠損値の処理などを簡単に行えます。
  • Matplotlib、seaborn:データをグラフなどの図で視覚的に表現するためのライブラリです。データの傾向を直感的に理解し、他者にわかりやすく伝えるために不可欠です。
  • scikit-learn:機械学習の主要なアルゴリズムを提供するライブラリで、データの分類やクラスタリングといった高度な分析を行えます。
図2 seabornを使って作成したグラフの例
図2

Google Colabには、上記の主要なライブラリがあらかじめ準備されています。そのため、開発環境のインストールや設定を行うことなく、すぐにPythonの学習やデータの分析・活用を始められます。

Pythonとこれらのライブラリを活用すれば、データ分析・活用のアイデアや仮説をすぐに試すことができ、データ分析のサイクルを高速化して素早く実践的な洞察を得られます。また、分析結果を手軽に可視化できるため、複雑なデータを直感的に理解し、他者と共有しやすくなります。これは、ビジネスなどさまざまな分野で、データという明確な根拠に基づいた客観的な意思決定を可能にします。

このように、Pythonとそのライブラリ群は、データから価値を引き出し、それを具体的な行動に結びつけるための強力な手段となるのです。

未来を切り拓くスキルを身につけよう

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