手を動かすのはAIエージェント⁠⁠、見届けるのは人間⁠⁠。任せて安心の新しい働き方  ~Google Antigravityで学ぶ⁠⁠、AIへの依頼と確認のコツ

ChatGPTやGeminiのようなチャットAIに「コーヒーの3択クイズを作りたい」と相談すると、問題案やプログラムの例を提案してくれます。ただ、それを保存し、動かし、ブラウザで確かめる作業は人間に残ります。

こうした作業まで任せられるのがAIエージェントです。Googleが提供するGoogle Antigravityは、AIエージェントを中心に設計された開発環境です。人間はAgent Managerという画面から仕事を頼み、エージェントはエディタでファイルを作成・修正し、ターミナルでコマンドを実行し、ブラウザで動作を確かめながら、一続きの仕事として進めます。

人間がコードを書く負担は減りますが、何を作るかを決め、出来上がったものが目的に合うかを判断する仕事は残ります。クイズなら、画面に表示されるだけでは不十分です。答えは正しいか、正解数とスコアは一致するかを確かめなければなりません。

Antigravityでは、作業前には計画、作業中には進捗、作業後には変更内容と確認結果が示されます。人間はそれらを読み、必要なところで修正を求めながら進められます(図1)。3問のクイズを作る例で、その流れをたどってみましょう。

図1 計画を読み、動作と変更箇所を確かめ、完了報告と照合する

「何を作るか」に加えて、作業の範囲も伝える

ここではコーヒーの知識を問うクイズを作ります。3問に絞れば、正誤判定まで一通り試すのにも手間はかかりません。

Antigravityでは、作業用のフォルダをProjectとして指定します。クイズ専用のフォルダを用意してProjectに選び、次のように依頼します。

  • コーヒーについての3択クイズを作りたいです。
  • 全部で3問、1問ずつ表示して、選択肢を押したらすぐ正解か不正解かがわかるようにしてください。
  • 3問終わったらスコアを表示してください。
  • タスクリストも作って、終わった項目に印を付けながら進めてください。
  • まず計画を出してから進めてください。
  • 今回はこのProject内だけを変更してください。

「このProject内だけを変更してください」は、作業用フォルダの外のファイルを変更対象にしないための一文です。ただし、依頼文だけで操作を制限できるわけではなく、コマンドの実行を認めるかどうかは権限設定や承認画面で判断します。

「まず計画を出してから」と伝えれば、作り始める前に、条件の抜けやAIが独自に補った内容に気づけます。

計画を読めば、作り始める前に直せる

Implementation Plan(実装計画)を開くと、これから作るものや作業方針を文章で読めます。図2の例では、依頼していない背景色やアニメーション、フォントまでAIが補って提案しています。

図2 Implementation Plan。依頼文では指定していないデザインも提案している

不要なら「アニメーションは省いてください」「⁠標準のフォントを使ってください」と返せば済みます。計画の該当箇所にコメントを付けて修正を求めることもできます。

あわせて、3問で終わるか、変更はProject内か、完成後にブラウザで確かめる予定があるかを確認します。わからない用語があれば、承認せずに「これは何のために必要ですか」と尋ねましょう。

計画に納得できたら「Proceed」ボタンなどで先へ進みます。途中でコマンド実行の承認を求められたら、何をする操作で、どこに影響するのかを確認します。計画への賛成と個々の操作の許可は別物です。

進み具合はTask List(タスクリスト)で追えます。終わった項目に印が付くので、別の仕事から戻っても残りの作業がわかります。

完成画面を操作し、依頼どおりかを確かめる

作業後は、AIがブラウザを操作してアプリを試す「Browser」で結果を確かめます。画面が開かない場合は「作成したクイズを/browserで開いて確認してください」と頼めます。

図3は、作成したクイズの1問目です。問題は「コーヒーの2大原種と呼ばれるのは『アラビカ種』ともう一つは何?」で、正解は「ロブスタ種(カネフォラ種⁠)⁠」です。AIによる確認が終わったら、人間もこの画面を操作してみます。

図3 ブラウザで開いたクイズ。正しい答えと誤った答えを選んだときの反応を確かめる

正解を選んで正解と表示されるか、別の選択肢で不正解になるかを確かめ、3問目まで進んで正解数とスコアを照らし合わせます。1問だけ正解なら1点のはずです。見栄えだけではわからない判定の誤りも、こうして見つかります。

直してほしいときは、「⁠1問だけ正解したのに3点と表示されます。正解数とスコアが一致するように直してください」のように、操作と結果、本来の姿を伝えます。修正後は同じ操作を試し、ほかへの影響がないかも確かめます。

続いてReview Changes(変更箇所の確認)を開き、AIがどのファイルのどこを書き換えたかを見ます。変更が依頼の範囲に収まっているか、必要なファイルを消していないかに注目し、用途のわからないファイルが増えていれば理由を尋ねます。

最後に、作業報告のWalkthroughを最初の計画と照合します。「⁠3問とも正誤判定を試した」のか「最初の画面が開くことだけを確かめた」のかで、確認できている範囲は違います。曖昧なら何を試したのか説明を求めます。

ここまで終えて初めて、依頼したクイズができたと判断できます。日本語で頼めるようになるほど、人間には条件を具体的にし、出来上がったものと照らし合わせる力が求められます。Antigravityの計画や報告は、その判断を支えるしくみなのです。

『はじめてのGoogle Antigravity入門 ~AIエージェントを指揮する力が身につく』では、このクイズ作りからポートフォリオサイトの公開、投票アプリへと題材を広げ、計画の読み方から完成品の受け入れまでを実際に操作しながら学べます。