インタビューで知るCMS導入のポイント―まちむら交流きこう

CMSで既存のDB資産をWebに活用

オーライ!ニッポン

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まちむら交流きこう(⁠⁠財)都市農山漁村交流活性化機構)は、都市と農山漁村の積極的な交流を支援し、農山漁村地域が活性化することを目的として日々活動しています。その目的を実現すべく、かねてから積極的にWebを使った情報発信を行っています。今回、まちむら交流きこう広報情報センター部次長 山浦守氏および株式会社ボール 取締役 松橋睦生氏、一級建築士 濱中直樹氏に、Webサイトのリニューアルおよび運用について伺いました。

ネット黎明期からWebは重要なメディア

山浦:我々広報情報センター部の事業では、都心部にお住まいの方々にさまざまな農山漁村の交流情報を提供することによって、実際に農山漁村を訪れていただき、農林漁業や地域により親しんでもらうことを目的に活動しています。我々の情報発信には、誰もが簡単に情報に触れることのできるWebというメディアはとても適していると考えています。

かつてはビデオテックス(双方向専用端末)やパソコン通信といった通信メディアを用いて農山漁村の情報提供をしていました。そんな中、まだインターネット黎明期であった平成7年Mosaicを見て「これだ!」と思い、ホームページを開設しました。まだ前身の団体だった頃です。

第1フェーズ:拡張性を重視した部分導入

山浦:その後、平成13年に3つの団体が1つになり、現在の「まちむら交流きこう」として設立されました。当時すでに3団体とも独自のホームページを持っていたので、トップページのみ統一して、それ以下は旧組織のページを別々に運用していました。

当初からサイトに関しての問題提議は少なからずありましたが運営を続けていました。しかし次第にデザインやナビゲーションの統一感の無さが顕在化してきました。また、HTMLの知識を持った特定の担当者に更新作業が集中することも問題になってきました。そこで何らかの対策を取らなければならないと考え、リニューアルすることになったのです。

最初の取り組みとして、平成18年にメインコンテンツの1つである「GreenTourism(グリーン・ツーリズム、GT⁠⁠」のリニューアルに着手しました。まずは先ほどの「サイト内の統一」⁠作業の効率化」が課題でした。以前システム構築を手がけたSEからの提案や雑誌の特集記事などですでにCMSの存在を知っていたので、CMSを前提にプロジェクトを立ち上げ、公募の結果ボールさんに依頼することになりました。

濱中:お話を伺った時点ですでにCMSを導入することは決まっていたので、ヒアリング段階では、サイトの想定規模や目的、運用などの要件をふまえてCMSの選定を行いました。

元々のお話はGTのみが対象となっていましたが、ヒアリングを進めていくにつれ、サイト全体の将来像のお話が伺えたため、我々のこれまでの経験から、テンプレートの自由度が高くアイデア次第でいろいろな拡張ができるWebRelease 2をご提案しました。

山浦:CMSの選定に際しては私のほうでも事前に情報を収集し、候補を絞りました。商用CMSはライセンスやサーバ費用が高くつくものが多く、オープンソースは将来性が不安、ブログはできることが限られる。そのような中、WebRelease 2は制約が無く拡張性が高いので長期間使えそう、また費用面でも比較的安価と、我々にとってとてもバランスが良いCMSだと感じました。

第1フェーズはGTについてのみCMSを導入するものでしたが、将来の拡張やリニューアルの際にゼロから作り直しでコンテンツ資産を捨てることにならないよう、長期的に稼働できる、拡張の余地を持ったWebサイトにしたいとボールさんに伝えました。

まちむら交流きこう広報情報センター部 次長 山浦守氏(中)
株式会社ボール 取締役 松橋睦生氏(左⁠⁠、一級建築士 濱中直樹氏(右)
まちむら交流きこう広報情報センター部 次長 山浦守氏(中)/株式会社ボール 取締役 松橋睦生氏(左)、一級建築士 濱中直樹氏(右)
取材日時 2009年11月27日

基本設計に時間をかけ、長期的なサイトの基礎作りを実践

濱中:第1フェーズ全体のスケジュールは約4ヵ月で、平成18年度末にリニューアルを終えましたが、将来の変更や拡張にも柔軟に対応できるよう、日程のほとんどを情報設計に充てました。逆にテンプレートは非常に短い期間で開発できました。テンプレート数は、入力・表示用が4、データ登録や各種設定用が10、計14、ページ数は約500ページでした。2000年秋頃からWebRelease 2を使ったサイト構築を数多くやってきているので、テンプレート実装のノウハウもかなり貯まっています。実際に、もっとシンプルなご要望であれば、トータル2ヵ月位でリニューアルした他サイトの例もあります。

第2フェーズ:全体導入~DB資産の活用

山浦:翌年平成19年度には、新たに「オーライ!ニッポン(ohrai.jp⁠⁠」というサイトを立ち上げることになりました。前年のGTのリニューアルが成功だったことから、ohrai.jpサイトにもCMSを導入しリニューアルすることになりました。また我々は「ふるさとDB」と呼んでいるさまざまな地域の情報が蓄積されたデータベース資産を持っていましたが、これをどうやってWebサイトで活用するか、またSEOの向上などが課題でした。

松橋:第2フェーズも公募の結果、リニューアルを担当させていただくことになりました。前フェーズでリニューアルしたGTをそのまま活かすべく、全体をマルチサイトの構造にしてGTにもう1段階上のレイヤのサイトを作り、そこをトップページとしてGTがぶらさがるといった設計にしました。

DBからXMLを生成、CMSで静的ページに

濱中:DB資産をWebサイトに活用するために、DBからXMLを出力してAjaxでページを生成したり、PHPでDBにアクセスして動的にページを生成するようにしました。WebRelease 2はテンプレートに記述する言語に制約が無いので、JavaScriptをはじめとして、ソースはすべてCMS上で管理するようにしました。

その後WebRelease 2がバージョンアップされ、XMLフィード・オブジェクトの機能が追加されました。このオブジェクトを使って、DBから動的に生成されるXMLをもとにHTMLベースの静的ページも生成できるようになりました。また逆に、WebRelease 2の編集画面から入力したコンテンツデータを元にしてXMLを生成してDB側のインターフェースで活用する、といったこともやっています。

こうしたDB.XMLを軸にした設計により、たとえばある地域を指定すると、その地域に関連するさまざまな種類のデータを抽出して、ページのコンテンツを自動生成するというようなことも簡単にできるようになりました。また、地方の自治体WebサイトのRSSをWebRelease 2のXMLフィード・オブジェクト機能で自動取得し、取込んで表示する、といったポータル的な運用も試みています。

その他、デザイン面では表面的に派手にはせず、アクセスしてくださる利用者の方々にきちんと情報が届くよう動線を設計しました、またSEO面では、PHPでの静的ページ生成に加えて、リンクの配置やコーディングに注意してテンプレートを実装しました。

山浦:本第2フェーズも無事、平成19年度末にリニューアルを完了しました。翌年平成20年度は、大幅な改修は行わず、第2フェーズの開発成果をさらにブラッシュアップし、現在に至っています。

本年度は、さらなるコンテンツの拡充を目指しており、とくに地域との連携を意識して地図情報(ジオタグ)などを活用したサイトにしたいと考えています。

松橋:現在も、サイトで紹介している各施設の個別の地図の表示にはGoogleマップを利用していますが、地図のインターフェースを前面に出して施設を紹介するといったやり方もおもしろいのではないかと思います。また、YouTubeなどを使って地域のイベントを動画で紹介するのもいいですね。

山浦:おかげさまでページビューは、旧サイトと比較して3倍に伸びました。またボールさんのご協力をいただき職員向けのWebRelease 2の操作講習会を数回開催し、HTMLの知識が無い職員でも自分でコンテンツを入力できるようになりました。今後はさらに多くの方々に訪れていただけるようなサイト作りに注力していきたいと思います。地図や動画はもちろんですし、携帯サイトにも対応できればいいなと思っています。

製品名:WebRelease 2
問合せ先:⁠株⁠フレームワークスソフトウェア
URL:http://www.frameworks.co.jp/
TEL:03-3547-3676

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