インタビューで知るCMS導入のポイント―料理レシピサイト「kusudama」

グッドデザイン賞、アックゼロヨン受賞 CMSが訴求力とアクセシビリティを高める

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kusudamaは、料理研究家 小田真規子氏が主宰のナッツカンパニーが管理・運営し、スタジオナッツが制作進行する料理レシピサイトです。デザイン性の高さとアクセシビリティへの配慮の両方を兼ね備えたサイトを目指してCMSを導入しました。今回、株式会社ナッツカンパニー代表取締役 料理研究家&栄養士 小田真規子氏、チーフプロデューサー 近藤日登美氏、有限会社スタジオナッツ 菱沼直美氏、制作・デザインを担当した株式会社ストゥーパ代表取締役 池田龍平氏、アートディレクター 野原かおり氏にお話を伺いました。

CGMではない、料理研究家の作品発表の場

小田氏:インターネット上に料理レシピサイトはいくつもありますが、それらのほとんどは読者がレシピを投稿するCGMだったり、企業が販促や広告収入を目的に運営しているサイトです。kusudamaは、料理研究家が自分の作品を発表する自由な場として、フードコーディネーター集団のスタジオナッツが自ら立ち上げたところが一番の大きな特徴だと思います。

近藤氏:たとえば、雑誌に掲載するレシピの場合は、あらかじめ企画が決まっており、料理研究家はそれに沿って料理を決めてレシピを紹介するといったことが多いのですが、料理研究家が自分自身で媒体を持つことで、ゼロから作品を作り情報を発信する機会を得ることができると考えました。

デザインへの強いこだわり

小田氏:作品発表の場ですので、細部まで見える大きな画像や、レシピサイトでは珍しい黒い背景など、とくにビジュアルにはこだわりました。もちろんぜひ実際に料理を作っていただきたいのですが、料理が好きな人なら作らなくても見ているだけで楽しい、そんなサイトにしたかったのです。陰影があり縦位置(縦長)で奥行きが感じられる料理の写真も、いつも撮影をお願いしているカメラマンの方の意向によるもので、kusudamaの個性のひとつとなっています。

またこうしたビジュアルと、コピー文や紹介文などのライティングは、Webへの掲載のみを前提に作られています。ネット上のレシピには、過去に雑誌などの紙媒体に掲載されたものが再掲載されているものも多いと思いますが、kusudamaはその逆で、まずWebありきなのです。

池田氏:今お話しいただいたようなデザイン性の高さや、食材・ジャンル・シーン・調理法などさまざまな視点でレシピを探せるインデックス、Flashへの対応などを要件にCMSを選定しました。デザインのクオリティを高く保つためにWYSIWYG型は除外、インデキシングや生成ソースの自由度からblogやモジュール型も除外し、最終的にWebReleaseをご提案しました。

訴求力とアクセシビリティの両方を高める

池田氏:デザインにこだわった甲斐があり、お蔭さまで日本産業デザイン振興会2009年度「グッドデザイン賞」を受賞することができました。また、多面的なインデキシングやキーワードによる検索も好評で、アクセスログを見ると回遊率も上がっています。

野原氏:現実の料理は人間の五感すべてに訴えるものですが、Webサイトにはビジュアルしかありません。そこで少しでもダイナミックに表現できるよう、kusudamaはFlash主体のサイトにしました。通常Flashは、コンテンツを手軽に更新できない、アクセシビリティやSEOに適さないといった理由から、サイト全体で使われることは敬遠されがちですが、WebReleaseにXMLとHTMLの2パターンのテンプレートを用意し、1回の入力でFlash版とHTML版の2サイトを更新できる仕組みでそれらに対応しました。

池田氏:kusudamaはまた、第4回アックゼロヨン・アワードの「農林水産大臣賞」を受賞することができました。このアワードは、Webサイトの使いやすさを評価するものですが、デザイン性の高いフルFlashのサイトでありながら、非健常者の方々やFlashを実行できない環境の方々にもHTML版のサイトでレシピを見ていただける、すべての方々に対してアクセシブルであることを評価していただけたのだと思っています。

菱沼氏:実際の更新は2.3ヵ月で約30点のレシピを撮り貯めておき、2.3週間で入力するといった運用です。私たちの専門は料理ですのでWebの技術的な知識はありませんが、CMSの操作に悩むこともなく、レシピ原稿と写真画像を入力するだけで手軽に更新できるので助かっています。500以上のレシピコンテンツのデザインを統一し、さまざまなインデックスに対してリンクのミスもなく運用することは、CMSなしにはできないことだと思います。

株式会社ナッツカンパニー 代表取締役 料理研究家&栄養士 小田真規子氏(前列右から2番目)
チーフプロデューサー 近藤日登美氏(後列右から2番目)
有限会社スタジオナッツ 菱沼直美氏(前列左端)
株式会社ストゥーパ 代表取締役 池田龍平氏(後列右端)
アートディレクター 野原かおり氏(前列右端)ほか、スタジオナッツの皆さん

株式会社ナッツカンパニー 代表取締役 料理研究家&栄養士 小田真規子氏(前列右から2番目)、チーフプロデューサー 近藤日登美氏(後列右から2番目)、有限会社スタジオナッツ 菱沼直美氏(前列左端)、株式会社ストゥーパ 代表取締役 池田龍平氏(後列右端)、アートディレクター 野原かおり氏(前列右端)ほか、スタジオナッツの皆さん

CMSでコンテンツが資産に。将来に向けてさまざまな展開

近藤氏:このたび扶桑社より『和食って、意外とかんたん!』というkusudamaのレシピをご紹介する単行本が発刊されました。CGMの場合はブログが本になったというお話はよく聞きますが、料理研究家がWebを元に本を出すことは初めてではないでしょうか。

また、先ごろ発売されたiPadにも興味があります。キッチンにiPadを置いてkusudamaを見ながら料理をしていただいているところを想像すると楽しいですね。

池田氏:WebReleaseはコンテンツとマークアップ言語が別々に保存されるので、新しいデバイスやHTML5への対応も、コンテンツを捨てずにそのまま再利用できますね。

小田氏:kusudamaとショッピングサイトとの連携など、kusudamaと外との繋がりも考えていきたいですね。もちろん今後も料理家のメッセージを伝えられるサイトを目指していきたいと思っています。

製品名:WebRelease 2
問合せ先:⁠株⁠フレームワークスソフトウェア
URL:http://www.frameworks.co.jp/
TEL:03-3547-3676

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