2010年9月10、11日の2日間、明星大学(東京/日野)にてオープンソースカンファレンス2010 Tokyo/Fallが開催された。今回、マイクロソフトが参加し、同社が考えるOSS、そしてWeb戦略について語った。
「Windowsで動く!OSS Webアプリケーションの『かんたん』インストール」と題して、マイクロソフト株式会社エバンジェリスト 武田正樹氏が発表を行った。
マイクロソフトとOSS
武田氏は冒頭で「私たちマイクロソフトは、これからはオープンソースコミュニティと手をとりあっていくスタンスで進んでいきます」と、OSSコミュニティとの協調を強化する旨を述べ、本題となるWeb PIについて語った。
Web PIとは?
Web PIとはWeb Platform Installerの略称で、マイクロソフトが提供する無償のOSSインストールサポートツールである。
- Web Platform Installer : 通称 Web PI
- http://www.microsoft.com/web/downloads/platform.aspx
Web PIを利用することにより、Windows OS上にさまざまなOSSを手軽にインストールすることができる。基本的には、ウィザードに沿って操作するだけでよく、設定ファイルの変更や依存関係といった、これまでOSSをインストールする際に求められていた手間が大幅に軽減される。
2010年9月11日現在、30以上のOSS Webアプリケーションが登録されており、日本語版パッケージについては、
- WordPress日本語版パッケージ
- XOOPS Cube Legacy(ホダ塾ディストリビューション)
- SugarCRM日本語パッケージ
- EC-CUBE日本語パッケージ
の4つのアプリケーションをサポートしている。
この後、武田氏がEC-CUBEを例に、Web PIの使用方法に関するデモンストレーションを行った。
Web PIを通じた協業
EC-CUBEのデモの後、Web PIを通じた協業というテーマで、EC-CUBEの開発元でもあり、株式会社ロックオン取締役副社長の福田博一氏が登壇し、EC-CUBEの紹介、そして、開発ベンダから見たWeb PIおよびマイクロソフトのWeb戦略について語った。
EC-CUBEを開発するに至った経緯について、福田氏は「開発する前まで、ECというとASPによるモール型あるいは独自開発・実装による構築型の2種類に分かれていました.どちらも一長一短な部分があり、また、自分自身“ワクワクせーへんな”という気持ちがあって、その2つの長所を取り込んだものとして、EC-CUBEを開発することにしました」と、ワクワクするような、そして実践的なECツールとしてEC-CUBEを開発したことを紹介した。
また、Web PIとの連携については「今回、お話をいただいてから実際に実装するまで、約3時間ほどで完了しました。実際に手を動かした部分としては、XMLの記述ぐらいです。それと、個人的に嬉しかったのは、米Microsoftのエンジニアの方にコードを見ていただき、メールベースでやり取りできたことですね」と、今回のWeb PI対応で自身が体感した経験を紹介した。
さらに「今回の協業では、マイクロソフトさんのプロモーションにご一緒させていただくことで、これまでEC-CUBEがリーチできなかった新しいユーザ層へアプローチしたいです」と、今後のユーザ拡大に対する期待を述べた。
次の展開―WebMatrix
再び武田氏のプレゼンテーションに戻り、最後に「次世代計画:WebMatrix」に関する内容とロードマップについて発表した。
WebMatrixは、OSS Webアプリケーションを活用して、簡単にWebアプリケーションを構築したい方に向けたツール群。
今年年末~来年初頭にかけてのリリースを予定しているそうだ。
なお、マイクロソフトのWeb戦略については、以下URLにて最新情報が公開されている。ぜひご覧いただきたい。
- Microsoft/web
- http://www.microsoft.com/web