「2007年のWeb」
2006年末の現在、RIA(Rich Internet Application)のプラットフォームは、ブラウザ上で実行されるFLASHとAjaxが主流となっています。2007年はWebのフロントエンドの開発者にとって大きな変化のある年となりそうです。
Web→Desktop
Adobeが2007年早々のリリースを予定している「Apollo」というプラットフォームでは、Flash、PDF、HTML、JavaScriptといった現在主流のWebフロントエンドの開発技術を利用して、ブラウザに依存しないデスクトップアプリケーションを作成することができるようになります。
これにより今まではブラウザを立ち上げてWebサイトにアクセスしなければ利用できなかった各種サービスが、デスクトップ上で実行できるようになり、インターネットアプリケーションの可能性が大きく広がると考えられています。
たとえば、グループウェアで、ネット接続時はリアルタイムに情報の更新やメッセージング、チャット機能などが提供され、オフライン時はスケジュールや各種ドキュメントの参照のみできるようなものだとか、各種Webサービスからデータだけを持ってきて、アプリケーション上でMashUPするような、新たな2.0サービスも期待できると思います。
何よりも良いなと思うのは、制作者が今までWebのフロントエンド構築で培ってきたスキルと資産を利用しながら、デスクトップという新たな領域に進出していくことができるという点です。今まで作ったFlashやXHTMLをそのまま利用できるという点は、大変期待できると思います。
また、クロスプラットフォーム(Windows、Mac、Linux)に対応しており、OSやブラウザによる差異を意識せずに動作させられるのも大きな魅力です。
Desktop→Web
一方、Microsoftは開発コード「Windows Presentation Foundation/Everywhere(WPF/E)」というWebブラウザ向けのグラフィック描画環境が2007年前半にリリースする予定です。
これは、おもにブラウザのプラグインとして動作し、2Dのベクタデータの描画、アニメーション、テキスト、動画、音声の再生を行います。プラグインもWindowsとMacの主要なブラウザで提供され、将来的にはモバイル端末への対応も予定されています。
開発言語としては、UIを定義し、おもにデザイナーサイドが利用するXAMLという言語を利用し、ロジック部分はJavaScriptの他、C#、VisualBasicといったマイクロソフトが培ってきた開発言語と環境が利用できます。
機能面だけを見て端的に言ってしまうと、Flash対抗のWebパブリッシングプラットフォームと言うことはできると思いますが、とかく問題になりがちな、デザインとロジックの切り分けが当初から設計されているのと、開発言語と環境がこなれており、それを利用している技術者数が多い点で、今後主流となりうる力は十分に持っているように思います。
まとめ
デスクトップとWebフロントエンドがシームレスにつながっていくことで、制作者は今までよりも大きな表現の場を手に入れることになります。これらを利用した、新しい仕掛けやサービス、それらによりもたらされるリッチなユーザ体験は、インターネットの利用方法を少し変えてくれるはずです。
2007年中に出揃うこれらのプラットフォームが、どんな体験をさせてくれるのか? 今から楽しみです。