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第2回Windows AzureでのOpenPNE構築事例

OpenPNE×Azureで社内SNSをつくる

社内SNSの人気が高まっています。SNSは企業が今使っているビジネスツールに比べて、優れている点が多くあります。

これには2つの理由があります。

1つは、FacebookやTwitterを始めとしたソーシャル・ネットワークが、現在のコミュニケーションツールの中で一番急速に進歩し普及しているからです。SNSがどんどん進歩する一方で、企業ではいまだに電子メールが連絡の主流で、掲示板やチャットなどもほとんど使われていません。SNSはそもそもツールが使いやすいし、広く普及しており教育の必要がなく、便利です。

もう1つは、特定の業務に特化しないというSNSの中立性があります。ビジネスツールは、決済ワークフロー、文書管理、顧客管理、人事管理など、個別の業務をこなすためにそれぞれ専門に特化して進歩しています。しかし、⁠直行直帰型、在宅勤務型のワークスタイルに対応したい」⁠会社の暗黙知を共有したい」⁠育休や産休で一時離れたスタッフが職場復帰しやすいようにしたい」などといった、最近新しく生まれた課題については、既存ツールでは解決できず、SNSのような誰もが参加できるボトムアップ型のツールで補いたいというニーズがあります。

このままSNSが発展するとエンターテインメントの世界がそうであったように、企業システムでもSNSを中心として、相互に連携するような世界観が実現するかもしれません。

SNSとシステムとの連携
SNSとシステムとの連携

この記事は、OpenPNEとWindows Azureを使って魅力的な社内SNSを構築するガイドをします。すでに手嶋屋の業務でも、このWindows Azure版 OpenPNEの提供が始まっています。日本農業新聞さまが、いち早く採用していただきました。

みなさんにも本ガイドで簡単にOpenPNEを導入し、社内SNSを成功させていただきたいです。

社内SNSにAzureが適するわけ

OpenPNEを動かすためには、動作環境であるコンピューターが必要です。社内SNSの構築にAzureが適する理由を、簡単にまとめてみました。手嶋屋では普段エンタメ系のSNSを構築する際にはLinuxを使っていますが、社内SNSにはAzureが適しています。

1.Windowsであること

社内SNSの管理者は、情報システム部や部門内のエンジニアなど、社員が行うことがほとんどです。多くの社員が一番慣れたシステムはWindowsです。

2.クラウドであること

企業にも急速にスマートフォンが普及しつつ有り、システムが社内からも、モバイルをつかった社外環境からもアクセスしたいというニーズが高まっています。社内からも社外からもアクセスできるクラウドという立ち位置は今のニーズに合っています。料金的にも、必要なときに始めて、必要なくなったらすぐに解約することができるのは魅力的です。

3.商用サポートの有無

社内SNSは、社内の重要なコミュニケーションを担うシステムに発展する可能性が有ります。社員が運営するにせよ、いよいよ本格的に利用するという際には、商用サポートが必要になります。インフラ側のAzureはマイクロソフトがカバーします。

OpenPNEソフトウエア自体は手嶋屋が商用サポートを提供しています

4.SQL Azureの信頼性

Azure版のOpenPNEはすべてのマスターデータをSQL Azureに格納します。これは可用性やデータの保持性など信頼性が高いため、重要なデータを保持するのに適しています。専門の管理スタッフがいない社内SNSのケースでは、データの信頼性が高いことは重要です。

5.アカウント連携

企業では社内のアカウント管理にActiveDirectoryが多く使われています。ADFSとAzure ACSという機構を使うことで、社内のアカウント情報とOpenPNEのメンバーIDを統合することができます。

本機能は今後のOpenPNEの拡張プラグインで対応予定

6.妥当な運用コスト

Azureよりも安いIaaS型クラウドはあります。しかしデータの保持性を考えると社内運用としては納得できるコストだと思います。OpenPNEの場合、1,000人が使ってもAzure代金は月2万円ほどでカバーできる試算です。1人当たり月20円。業務システムとしては非常に安価では無いでしょうか?

OpenPNEについての簡単なおさらい

OpenPNEは特定の仲間(メンバー)に限定したプライベートな場をつくることができる、SNS構築のためのソフトウエアです。メンバー限定の交流スペースをネット上につくることができます。ソフトウエアはPHPで作られており、すべてオープンソース(Apache2.0ライセンス)です。GPLのような再配布の制限もありませんので、インストールするのも、機能拡張するのも、拡張した機能を隠しておくのも、すべてが自由です。この性質によりベンダーロックインが発生しないことも、企業向けとしてのOpenPNEの売りの1つです。

すでに社内SNSとしてOpenPNEが使われている事例もあります。日立グループではグループを横断したSNSを自社で構築しています。18,000人以上の社員がそれぞれの会社の垣根を超えたグループの仲間として、交流や情報交換を重ねています。

AzureにOpenPNEをインストールする

具体的な構築方法について解説します。といっても、OpenPNEはAzure専用のパッケージを用意しているので、構築は非常に簡単です。

Azure版OpenPNEのダウンロード

Azure版OpenPNEのダウンロード
以下のサイトからAzure版のOpenPNEをダウンロードしてください。
http://www.openpne.jp/archives/7006/

ZIPファイルを展開すると3つのファイルが含まれています。

OpenPNE3.cspkgAzure版OpenPNEの本体パッケージ
ServiceConfiguration.cscfg初期設定を行う設定ファイル
README.txtインストール方法を解説したREADMEファイル

Azureの設定作業

READMEを元にしてインストールを進めて行きます。

OpenPNEをインストールする前に以下の準備を済ませておいてください。

  • Windows Azureアカウントを取得し、管理ポータルにアクセスできるようにする
  • Windows Azureの有効なサブスクリプションを取得する
  • SQL Azureのデータベースを管理ポータルから作成する
  • 任意のSMTPサーバを用意する(OpenPNEからのメール送信に必要)

設定ファイルの変更

ServiceConfiguration.cscfgの以下の部分を、SQL Azureで設定したデータベース情報に置き換えてください。SMTPについては会社で使っている送信メールサーバのアカウントを指定すればスムーズに行くと思います。

ServiceConfiguration.cscfgの設定項目
ServiceConfiguration.cscfgの設定項目

デプロイメント

ここまででインストールの準備は完了です。あとはAzureの管理ポータルのホステッドサービスの管理画面から、同梱のOpenPNE3.cspkgと編集したServiceConfiguration.cscfgを選択してデプロイしてください。

デプロイメント設定
デプロイメント設定

動作確認

OpenPNEではデフォルトで以下のアカウントが作られます。デプロイしたサーバのURLにアクセスしてログインできるか確認します。

ユーザーsns@example.com/password
管理者admin/password
ユーザー画面http://デプロイURL/
管理画面http://デプロイURL/pc_backend.php

上記の表の設定でそれぞれアクセスできます。

ユーザー画面
ユーザー画面
管理画面
管理画面

まとめ

Azure環境でのOpenPNEのセットアップまで解説しました。OpenPNEは通常のパッケージよりも、かなり簡単にセットアップできるようになったと思います。

SNSは構築よりも活用が大切です。社内の運営仲間を誘い試行錯誤しながら、素晴らしいコミュニケーション空間をうみだしていただけることを期待しています。

まだまだOpenPNEは発展途上ですので、使い勝手やアイデアについてフィードバックいただきたいです。筆者はTwitter上でつぶやきに「OpenPNE」と書かれているものを全件チェックしています。気軽に、アイデアをつぶやいてみてください!

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