今回はコンポーネントとして使うデザインパーツ(コンポーネント)を紹介します。
デザインパーツとは
デザインパーツを紹介する前に、デザインパーツを「そのまま使うこと」の意味を考えてみましょう。
前回紹介した基本スタイルは尖った指定などはなく、比較的どんなサイトでも無難に使えるデザインです。
これから紹介するタブやぺージング、ナビゲーション、ジャンボトロン、メニューなどのデザインパーツはclassを指定するだけで簡単に使えるパワフルなコンポーネントであり、その分Bootstrapらしさを演出するパーツになっています。
しかしながら、CSSやLESSを書かずに、つまりデザインをせず、すべてBootstrap任せてしまえば、どうしても、同じ見た目になってしまいます。特に画像・写真等のビジュアル要素が少ないテキストベースのサイトではより顕著に現れるでしょう。そのため、サイトを制作する上で要件・納期を考慮し何処を「オリジナル」にするか、またはどこを「カスタマイズ」するか?をあらかじめ念頭にいれるようにしましょう。
デザインパーツの利用方法
デザインパーツを使うにあたって、デザインパーツの中には別途、JavaScriptライブラリ(bootstrap.min.js)とjQueryを用意する必要がある場合があります。その時には、jQuery→bootstrap.min.jsという順番で読み込むようにしましょう。
新しくなったグラフィックアイコン
Bootstrap2まではCSSスプライトを利用したラスタベースのアイコンでしたが、Bootstrap3のアイコンはWebフォントを採用することでベクターベースになりました。それにより、任意のサイズに拡大したり、Retinaディスプレイ等で表示しても劣化のない鮮明なビジュアルが得られるようになりました。
さらにフォントであるため、白・黒の二択ではなく、デザインに合わせてcolorプロパティで自由に配色を設定できます。
自由度が広がったため、従来通りボタンに使う以外にもデザインのアクセントに利用するなど、用途はアイデア次第で広がります。
使い方は、空のspanタグにglyphiconというclassと、表示させたいグラフィックアイコンのclassをつけることで、利用できます。
グラフィックアイコンのclassは、公式サイトにグラフィックアイコンとclassを記載したリストがあります。
ドロップダウンメニュー
開閉可能なドロップダウンメニューを作ります。Bootstrapのドロップダウンプラグインが導入されている必要があります。bootstrap.min.jsに含まれているため、jQueryとbootstrap.min.jsが正常にセットアップされていれば動きます。以下すべてのJavaScirptライブラリが読み込まれていることを前提に解説します。
この開閉可能なドロップダウンメニューは、次のように書いていきます。
1. 外箱の用意
まずドロップダウンメニューを作るにはdropdownというclassを指定したdiv要素を作ります。その中に必要な要素を入れて入れることでドロップダウンを構築します。
この要素にopenというclassがついたり消えたりすることでドロップダウン開閉のギミックが成り立ちます。
2. ボタンの用意
次にドロップダウンを発動させるためのボタンを用意します。
このコードで重要な属性はdata-toggle属性とdropdown値です。この属性のついた要素をクリックすると、ドロップダウンの開閉が行われます[1]。なお、button要素でなくa要素など、他の要素でも構いません。
3. ドロップダウンメニューの中身を作る
ドロップダウンメニューの本体をul要素で記述します。dividerというclassを指定した空li要素を入れることで区切り線を作ることができます。
ドロップダウン項目にタイトルをつける
ドロップダウンメニューにタイトルをつけることができます。li要素のclassにdropdown-headerを指定します。
ボタングループ
ボタンを束ねて表示することができます。使い方は簡単で、ボタンをbtn-groupというclassを指定したdiv要素でラップするだけです。
ボタンツールバー
前項で取り上げたボタングループをさらに束ねることで、ツールーバー状にできます。こちらも使い方は簡単で、ボタングループをラップしているdiv要素群に対して、btn-toolbarというclassを指定したdiv要素でさらにラップするだけです。
ボタンググループのサイズ
ボタングループもボタン同様に4種類のサイズが用意されています。btn-groupというclassに追加して、次のclassを指定することで利用できます。
btn-group-lg |
大きいサイズ |
追加指定無し |
通常のサイズ |
btn-group-sm |
小さめのサイズ |
btn-group-xs |
凄く小さいサイズ |
次のように書くことができます。
ボタングループにドロップダウンメニューをネストする
ボタングループにドロップダウンメニューをネストすることができます。その際記述が変則的になるため、注意が必要です。
ボタングループにドロップダウンメニューをネストする際にはラップするdiv要素にdropdownではなく、btn-groupというclassを指定します。ここだけ変則的になりますので注意が必要です。
縦並びのボタングループ
ボタングループはボタンを縦並びにして纏めることもできます。こちらの使用方法も簡単で、btn-groupと指定していたclassの代わりにbtn-group-verticalを指定するだけです。
ジャストフィットボタングループ
親要素の横幅一杯に広がるタイプのボタングループを作ることもできます。btn-groupを指定した要素にbtn-group-justifiedというclassを追加して使います。しかし、a要素とbutton要素でマークアップ方法に差異があり、注意が必要です。
a要素の場合はラップする親要素にbtn-group-justifiedを追加するだけです。
しかし、button要素の場合は個別のbutton要素に対してbtn-groupでラップした上で、btn-group-justifiedを使う必要があります。
ナビゲーション
ナビゲーションの基本系はul要素にnavというclassと、デザインに応じたclassを指定することで利用できます。現在選択されているメニューはli要素にactiveというclassを指定することで対応します。
タブ型ナビゲーション
タブ型ナビゲーションは、基本形のナビゲーションにnav-tabsというclassを追加して使用します。
ピル型ナビゲーション
ピル(つまり錠剤)型のナビゲーションはあまり日本では聞かない言い回しですが、カスタマイズする場合は背景をベタから差し替えるだけでオリジナリティを出すことができます。カスタマイズのベースとしては比較的使いやすい部品です。使い方はnav-pillsを追加でclassに指定して使います。
カスタマイズ例
Web2.0(リッチUI)時代に流行った、次のようなグロー掛かったデザインのナビゲーションも簡単につくれます。
LESSについてはまだ触れてませんし、画像を使用すると再現が難しくなるため、多少長くなりますが今回はCSS3で次のような指定をしています。
ピル型ナビゲーションを縦積みする
ピル型ナビゲーションを縦積みすることでサイドカラムなどで便利に活用することができます。使い方はnav-pillsに加えて、nav-stackedというclassを指定します。
ナビゲーションを両端詰めにする
横並びタイプのナビゲーションを親要素の幅に左右にジャストフィットするように配置します。項目が増えても均等に割りつけられるため、CMSでの活用時にも便利なスタイルです。
ナビゲーションの中にドロップダウンメニューを入れる
ナビゲーションの中にドロップダウンメニューを入れる場合、少し変則的なコードになるので紹介します。
ドロップダウンメニューの回で紹介した全体を囲むdropdowndを、メニューのli要素のclassとして記述します。また、button要素ではなくa要素を使います(そのためbtnなどの指定は不要です)。
グローバルナビゲーション向けのナビゲーションバー
先ほど紹介したナビゲーションバーとは違い、グローバルナビゲーション向けのナビゲーションバーを紹介します。このナビゲーションバーは、スマートフォンサイズ(768px未満)ではナビゲーションの内容がまとめられボタンでトグルする動作をします。
一見便利そうな機能ですが、一般ユーザーはこのようなインターフェースに慣れてないため、この機能だけでサイトを巡回するために必須の機能を提供するのには実は向きません。そのため、サイト巡回に必要な機能はこのナビゲーションバー以外の方法でも提供するべきです。もちろんコンパクトに収納される特性を利用してサイト全体へのナビゲーションを配置するなどの活用法があります。また、ログインすると利用できる機能など使い込んでる人向けの機能をまとめるのも良いでしょう。
少し複雑なコードになっているため、上から順番に見ていきます。
ナビゲーションバーの使い方はnav要素にnavbarというclassと、ナビゲーションバーの種類を指定することで利用ができます。上記画像のナビゲーションバーは標準タイプなのでnavbar-defaultと指定します。
何度か登場したcontainer要素。これはナビゲーションバー内部のコンテンツをセンタリングするための要素でcontainer-fluidまたはcontainerを選べます。
containerを選ぶと最大幅1170pxのセンタリングになります(中のコンテンツだけ)。
スマホ表示の際のボタンとタイトルを定義しています。タイトルについては特になくても機能します。またこのボタン要素はBootstrapのdata-apiでトグルの機能が割り当てられています。data-target属性にトグルする要素のidを指定しておきます(1対1で呼び出せればclassでも可能ですがidを使うほうがスマートでしょう)。
この中身がメニューとなり、スマホ表示にトグルする内枠となります。
このリスト要素に必用なリンク等を収納して使います。ナビパーツの様に中にドロップダウンメニューなどを入れることもできます(スマートフォンでの表示時も問題なく動作します)。
さらに複数のリスト要素を用意することや、リスト要素にnavbar-rightというclassを追加して右に寄せることもできます。
ナビゲーションバーの様々な種類
基本的な使い方を覚えたところで、ナビゲーションバーのバリエーションを見ていきましょう。nav要素に追加・置き換えでclassを指定するだけで様々なバリエーションのナビゲーションバーが利用できます。
navbar-fixed-top |
CSSのposition: flexを利用して常にトップにナビゲーションが表示されるようになる。そのため、コンテンツをナビゲーションバー分(70px)ずらして配置する必要がある。例)body { padding-top: 70px; } |
navbar-fixed-bottom |
常に下にナビゲーションを表示する作りとなる。そのため、コンテンツの下方に70px分の幅を開ける必要がある。例)body { padding-bottom: 70px; } |
navbar-inverse |
黒ベースのナビゲーションバーにするためのclass。これはnavbar-defaultの替わりに使う。 |
ジャンボトロン
ジャンボトロンは、サイトのメインビジュアル用のパーツです。Bootstrap2時代はヒーローユニットと呼ばれていました。これをそのまま利用すると一気にBootstrapらしさが出るため、あまり利用する機会は多くないでしょう。使う場合は背景をカスタマイズしたりして工夫してみましょう。
使い方は簡単でjumbotronというclassのついたdiv要素で囲むだけです。
ページヘッダー
h1要素などをラップする簡単なデザインパーツです。ここをカスタマイズするだけで結構見栄えが変わるので利用する機会が比較的多いパーツでしょう。こちらも利用方法は簡単で、page-headerというclassを指定したdiv要素で囲むだけです。
カスタマイズ例は次のとおりです。
まとめ
ざっと駆け足でよく使うデザインパーツを紹介しました。今回はサイト制作ということでWebアプリなどでよく使うダイヤログやプログレスバーなどの部品は省略しました。他にも便利な部品は色々ありますので、ぜひ公式サイトに目を通してみてください。