サーバーを自社で運用管理するのはもう限界…。データの増大、煩雑な管理、システムダウン、セキュリティなど、迫りくる課題からシステム管理者の負担を軽くするポイントを解説します。
ITシステムが企業の根幹となっている現在、システムダウンをいかに防ぐかは重要な課題である。実際、日本を代表する有名企業でも大規模なシステムダウンが発生し、社会的な事件として取り上げられるほど被害も年々甚大になっている。今後もシステムダウンの脅威は増加する一方だが、それは決して他人事ではない。"今、そこにある危機"なのだ。では、管理を任された担当者は、どんな対策をとれば良いのだろうか。管理の責任と重圧に悩むある企業のシステム担当・Aさんの悩みを聞いてみよう。
- 相談者プロフィール
-
Aさん:
ある中堅企業のシステム担当者。会社の事業拡大とともに業務をITに依存する割合が増加。しかし、経営層は口ではITの重要性を語っていても、その運用・管理のコストはほとんど認めず、むしろ、人も、予算も減らされる状況にある。そんな理不尽な運用体制を嘆く毎日だったが、友人からの「マネージドホスティング」の紹介で解決のヒントをつかみ、改善に向けた取り組みをはじめたところ。
人もコストも減らされる一方なのに、決して許されないシステムダウン
システムダウンは突然やってくる。Aさんが休み明けに出社したら会社が騒がしい。「どうしたの?」と聞くと、「サーバーが動いていない」との回答が…。慌ててサーバールームに直行したが、スイッチは動いている。となると、サーバー本体かアプリケーションの障害か?
急いで復旧作業に取り掛かると、原因は連休明けに出社した社員によるアクセスの集中だった。その原因究明までに半日、システムの再設定などにさらに半日も費やしてしまった。思えば最近システムがやたら重くなっていたし、週末から週明けにパフォーマンスが低下していたとレポートにもあった。この前もストレージの容量不足からシステムダウンが起こりかけたが、その時はハードディスクの追加で何とか対処した。今回の対応で改善されればいいが、継ぎはぎだらけのシステムなので、どこかに不具合が出たら、それこそ大きなトラブルにもなりかねない。
人材不足、予算不足は当たり前“中小企業における運用管理の実態”
そもそもこんな運用状態になってしまった原因は何なのか? Aさんの置かれた状況をあらためて整理してみよう。
- 以前の担当者が退職。人材がいないので、サーバーのことを多少知っている自分が無理やり引き継がされて責任者になった。
- 人も予算もないのに管理対象は増える一方。
- 以前からドキュメントもないまま、場当たり的な運用をしている。
こんな恐ろしいシステムがまかり通っていること自体怖いが、実はこれが多くの企業の実態かもしれない。
いつかは起こると思っていたが、実際にサーバーが落ちてしまった。この厳しい経済状況の中、「コスト削減だ!」「人員カットだ!」と、機会あるごとに経営陣は言うが、会社の業務を担っているITシステムの運用・管理がこんな状態では、二度と落ちませんとはとても言い切れない。それでも責任は自分に…。
何か対策はないのだろうかと、思い余ったAさんは、学生時代からの友人で、他社でシステム担当をしているBさんに相談したのだった。
サーバーの管理を専門家に委託する「マネージドホスティング」
同じような中堅企業でシステム担当をしているBさんも、さぞかし苦労していると思いきや、「うちは何も問題ないよ」と意外な答えが。聞けば、システム監視やパフォーマンス監視のサービスを付加したマネージドホスティングというサービスを使っているという。
「ホスティング? それってレンタルサーバーだよね。業者にサーバーを預けてしまうって、不安じゃないの」とAさん。
早速、詳しく聞いてみると、「マネージドホスティングのサービスを提供している業者は、高度な知識を持つITの専門家だよ。専門家でないと、障害の切り分けは難しいし、人もいないのに24時間無休の運用管理なんて無理さ。人もいない、コストも掛けられないうちのような規模の企業は、自社運用より技術を持つ専門スタッフに任せるのが一番だよ。コストも手ごろだし、まさに中小・中堅企業にとって最適なサービスさ」。
これを聞いたAさんは早速、今回の顛末書を上司に報告し、改善策として「マネージドホスティング」を提案した。上司も委託しているサーバーが業務上とても重要なものであり、片手間な管理で済まされないと痛感。マネージドホスティング導入を経営層に掛け合ってくれると約束してくれた。
運用管理と障害対応を提供する“専用レンタルサーバー”
Aさんは思った。「24時間365日、安定稼働を低コスト・低負荷で実現したいという管理者は多いはず。自社だけで答えを出そうとせずに、外部の専門家(ホスティングサービス提供企業)に委託するのも選択肢のひとつだ。『マネージド・サーバー』というサービスもあるので、もっと詳しく調べてみよう」。
調べていくと、従来の回線と筺体を提供するだけのホスティングサービスとは異なり、サーバーの運用管理と障害対応を含めた専用レンタルサーバー・サービスだとわかった。
自社でサーバー管理を行う場合、手元にサーバーがあるので障害時にすぐに対応できることがメリット。しかし、障害の原因究明をして、適切な対策をするには知識とスキルが必要なため、専門の人材がいないと困難だ。
一方、外部に委託する場合は、障害の切り分けなどに長けた専門スタッフがいるものの、すぐには対応できない。そこで注目されているのが、ホスティングのサービスベンダーが、サーバーにシステム/パフォーマンス監視、障害対応を行うマネージドサービスを付加して提供する「マネージド・サーバー」なのだ。
必要なサービスの選択で、運用コストも最適化
マネージドホスティングには、機器の死活監視・リブート・リソース監視・ポート監視など一部を提供するものから、初期のコンサルティングをはじめ設計、運用、構築、保守のフルサービスを提供するものまで、ニーズに合わせて選択できる。これなら、専任のサーバー要員として設定や技術的な問題までをカバーしてくれそうだ。オプションや保守内容ごとに料金設定がなされていないため、追加費用なしでサービスを利用できる点も上司に分かってもらえるかも。
「マネージドホスティング」を知ってAさんに一筋の光が見えてきた。これなら、Aさんがシステム運用の不安から解放される日もそう遠くないだろう。
ようやくちょっとだけ不安が解消されたAさん。でも、まだまだ分からないことが一杯…果たして「マネージドホスティング」はサーバー運用管理の救世主となるのか?乞うご期待!(次回は12/8公開予定です)