デジタルブランドマネジメント

第38回新商品デジタルプロモーションの9ステップ

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消費財ブランドのビジネスには、新商品のローンチが不可欠です。ブランドが生き残るためには、新商品を求める消費者や、リテーラーを満足させ続け、厳しい市場での競争力を維持しなければなりません。毎年、開発やマーケティングに多額の予算を費やし、何万もの新商品が棚に並びます。しかし、長期的に成功するのは、その中のほんの一握りでしかありません。

新商品ローンチの多くは、競合ブランドと同時期に、限られたリードタイムで実行されます。実験的な試みや、テストなどを繰り返す余裕はなく、成功のチャンスは一度しかありません。さらに、競合商品に溢れた市場では、参入コストの増加や、成功率のさらなる低下が、ブランドにとって大きなリスクとなります。新商品を成長の原動力とする消費財ブランドには、その成功を運に任せる余裕はなく、実証された、確かな手法が必要とされているのです。

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多くの商品ローンチの経験をもとに、その成功率を高めるデジタルプロモーションの手法を9ステップにまとめました。効果的なコミュニケーションを発見し、認知から購入、クチコミまでの流れを作ることで、確実に初動の売上を獲得します。

インサイト調査

競合商品や、商品カテゴリーのインサイトをソーシャルメディアの投稿から調査します。消費者の購買動機と、非購買動機をカテゴリー毎に分類し、その傾向を分析します。数日間のリードタイムで、複数の効果的なコミュニケーションの仮説を立てることができます。

ペルソナ設定

ソーシャルメディアの分析から、理想のターゲット像を定義します。複数ユーザーの投稿を過去にさかのぼって分析し、商品カテゴリーに対する意識や、日常生活を詳細に描写します。文章を一人称で作成することで、ニーズだけでなく、細かいニュアンスなども伝わり、ターゲット像に対するコンセンサスを形成します。

クリエイティブテスト

複数の仮説をテストし、最も効果的なクリエイティブを見つけ出します。バナーなど、制作コストの低い広告のバリエーションを配信し、閲覧者の行動データを分析します。広告視聴と購買行動を結びつけることにより、確実に購買に役立つクリエイティブを短期間で絞り込みます。

ソーシャル広告

特定のデモグラフィックやインタレストに合わせて、面積の大きい画像広告を配信します。ソーシャルメディア上のプロフィール情報などからユーザーを正確にターゲティングし、効率よくリーチします。従来のバナー広告よりも面積の大きい画像を表示することで、高いインパクトを与え、新商品のアウェアネスを向上させます。

動画広告

特定のデモグラフィックやインタレストに合わせて、YouTubeなどのサービスを通じて動画広告を配信します。視聴履歴などからユーザーを正確にターゲティングし、効率よくリーチします。TVに比べ、比較的低コストで、積極的な閲覧を獲得し、新商品のアウェアネスを向上させます。

ブランデッドコンテンツ

商品の特性やバリュー・プロポジション、購入方法などを伝えるページを作成します。コピーだけでなく、ビジュアルでのコミュニケーションを重視し、新商品への興味を喚起します。オンラインでの購入や店舗の検索、ソーシャルメディアでのシェアなどへユーザーを誘導し、店頭での売上や認知度を向上させます。

サンプリング

ユーザーを広告からサンプリングのキャンペーンサイトへと誘導し、動画視聴、シェア、友人の紹介、アンケートの記入などと共に応募を獲得します。サンプリング後に購入率を調査し、新規トライアルの獲得単価を算出します。ターゲティングしたユーザーにサンプリングを行うことで、サンプリング後の購入率を高めます。

レビュー

購入者やサンプリング済みのユーザーから、ソーシャルメディアやレビューサイトなどのレビューを獲得します。キャンペーンや製品パッケージなどからユーザーのメールアドレスを獲得し、レビューを促すメールを送信します。インセンティブなどは提供せず、事前にアンケートを通じて推奨度の高いユーザーを分類することで、レビューの品質を向上させることができます。

アンケート

施策の効果や、将来的な企画に向けたベンチマークなどを調査します。購入者やサンプリング済みのユーザーから、購入経験や購入意向、ネットプロモータースコア(NPS⁠⁠、NPSの採点理由を取得します。NPSと採点理由を取得することで、コミュニケーションの改善方法を知ることができます。

新商品のデジタルプロモーションを成功させるためには、個別の施策の相乗効果を理解し、全体を「プロセス」として機能させる必要があります。そのためには、ユーザーの理解に始まり、認知からトライアル、クチコミへの流れを作り、ステップごとの効果検証が欠かせません。感覚的にプランニングを行うのではなく、プロセスに沿って繰り返しプロモーションを実施することで、KPIのベンチマークやノウハウが蓄積され、新商品ローンチの成功率を高めることができるのです。

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