低関与な製品を扱うブランドほど、価値のあるコンテンツを提供することが難しくなります。いわゆる「有用コンテンツ」を大量に作っても、日常生活に関する読み物はつまらなく、一般的な情報になってしまいます。このようなコンテンツでは、ブランドと消費者のつながりを創ることはできません。コンシューマーブランドはそろそろ「大量な読み物コンテンツでオウンドメディアへ集客する」という戦略を見直すべきではないでしょうか。
コンテンツマーケティングからリターンを得るためには考えるべきポイントが3つあります。関心の高いトピック、有機的なコンテンツ環境、そしてアクティベーションです。
関心の高いトピック
世界的にコンテンツマーケティングの成功を収めているブランドはどれも消費者が高い関心を示すトピックにフォーカスをしています。レッドブルはエクストリームスポーツ、オレオは時事ネタ、ダヴは女性の美容意識。商品自体は低関与であっても、コンテンツのトピックが関心の高いものであれば多くの人に触れ、会話の中に入ることができるはずです。
関心の高いトピックでは、ブランドが独自の視点や主張を表現することで、コンテンツにパーソナリティーを持たせることができます。強いパーソナリティーは消費者の共感を生み、ブランドの強化につながります。ブランドのコンテンツマーケティングにはトピックに対する関心の度合いが最も重要なポイントであると言えるでしょう。
有機的なコンテンツ環境
読み物コンテンツを使ってオウンドメディアに集客をするという発想はとてもメディア中心的な考え方です。それでは有象無象のデジタルメディアや個人ブログとなんら変わりはありません。コンテンツを使ってどのようにリーチをするかではなく、メディア毎にどのようなコンテンツが適しているかを考える必要があります。
良質なコンテンツは人の会話に入り込み、たくさんの二次的なコンテンツを生み出します。ユーザーにコンテンツを生成してもらうために「受け入れられる話題」を提供することも、ブランドが実施すべきコンテンツマーケティングであると言えるでしょう。ブランドは消費者のコンテンツ消費傾向やメディア毎の特性を理解し、消費者の周りに有機的なコンテンツ環境を設計することで、その影響力を最大化できます。
収益につながるアクティベーション
コンテンツは何らかの方法でブランドの収益につながる必要があります。どれだけ消費者にとって有益性が高くても、投資に対するリターンを得ることができなければ良質なコンテンツであるとは言えません。ブランドや商品に対する興味・愛着を感じてもらい、アクティベーション(トライアルやリピート購入)につなげることで初めて、コンテンツに対するコストを正当化できます。
コンシューマーブランドの場合、直接的な購買効果を計ることはできません。そのためリーチやシェア数などの量的指標ばかりが重視され、近視的な戦略に陥りやすくなります。アクティベーションにつながるコンテンツを考える際はどのような中期指標が収益成長につながるかを量的、質的、価値側面から分析しなければいけません。また、良質なコンテンツを見極めるために「コンテンツ自体に広告費をかける価値があるか」という問いを目安とすることができます。
コンシューマーブランドは関心の高いトピック、有機的なコンテンツ環境、そして収益につながるアクティベーションを意識することで、コンテンツマーケティングを大きく改善できるはずです。大量な読み物コンテンツでオウンドメディアに集客をしても、売りにつながらないと不満を感じている場合は、すぐに戦略の見直しを行いましょう。