ディレクターズノート-こちら狸穴公園脇ウェブサイト制作所-

第3回サイトリニューアルに必要な情報を集めよう

綿鍋:
「なんかさ、つっこみどころが多すぎて超、大変そう・。」
埋田:
「同意。どこから手をつけたもんだか・。」
綿鍋:
「でも一応、自分の勤める会社のサイトだし・
今のままじゃ友達にも言えないよなー。やるしかないか・
ふぁー、今日はもう帰ろ・。」

<次の日>

綿鍋:
「おはようございます。」
上部(社長)
「おっ、出来たか、リ・ニュ・ウ・ア・ル・!」
綿鍋:
「・まだです!で、聞きたいことが・・」
上部(社長)
「まだか、そりゃそうだよな。
いやーあれな、すごい大変だったんだぞー。
音楽はミュージシャンの義多郎に作曲してもらってだなー、オレの写真見た? あれもフォトグラファーのアラバーキーに頼んだりしてさー、
あ、全部オレの友達なんだけどさー。
呑み友達ってゆーの?いや、オレって顔広いからさー、
皆使ってくれ使ってくれうるさくってさー。べらべらべら・。」
綿鍋:
「⁠⁠出た、ウワベ節!今日は負けん!⁠
はい、それはわかりましたから。
社長はホームページで何がしたいんですか?
友達自慢ですか?」
上部(社長)
「・じ、自慢ってなんだよ、そんな風に言うなよー、きついんだからもー。
あのね、あれ、あれだよ・か、会社の窓口っていうか、
営業マン、営業マンにしたいんだよー!
(と言いながら後ずさる⁠⁠」
綿鍋:
「って、社長!どこ行く気ですかっ!」
上部(社長)
「打ち合わせだよ、打ち合わせ~、じゃよろしく!」
埋田:
「・行っちゃった。」
綿鍋:
「あー、もう!
またいつものパターンじゃん!
どーすんのー?!」
埋田:
「どーするもなにも、情報が少なすぎるよねぇ・・」
綿鍋:
「うーん・・」

今回も2人は、放漫な社長に悩まされているようですね。

さて、企画・特にサイトリニューアルなどの際に、計画の根本を支えるのは、⁠現状把握・理解」「情報収集」だと言えるでしょう。

「現状把握・理解」の重要さについては、前述した通りです。

そして現状を理解した上で行うべきは、情報の収集です。例えばそのひとつとして挙げられるのが、発注者へのヒアリングです。

彼らの場合で言えば、上部(うわべ)社長への聞き込み調査、といったところでしょうか。

発注者側が「RFP(Request For Proposal:提案依頼書⁠⁠」というサイト構築や情報システムを発注する際に要件を定義した文書を、受注者(作業者)へ提供するのが本来的です。

しかし、実際の企業間取引においても、新規システムの導入であればまだしも、サイトリニューアル規模の案件でRFPを提供してくれる発注者は極まれです。

もちろんRFPの用意があれば、それは非常に意欲的だと言えますが、上部社長の場合は、言うまでも無く「ノリ」重視というところでしょう。

そこで必要となるのが、ヒアリングです。

  • なぜリニューアルを行うのか?
  • 何の為に行うのか?
  • 必達したい項目は何か?

発注者の真意を探り、言葉や文章に落とし込みつつ目的を明確にすることは、発注する側、受注する側、お互いの意思を刷り合わせる上でも非常に重要です。

とは言え、上の質問をそのままぶつけてみたところで、満足いく回答が得られるとは限りません。

なぜなら、発注者に明確なイメージが無い場合も多々あるからです。イメージはあっても言葉では伝え難い、という事もあるかもしれません。

おそらく上部社長も、そのタイプなのでは・・?!

そこで、ここではプロジェクト自体が迷走してしまわないよう、⁠ヒアリングシート」による情報収集を紹介したいと思います。

ヒアリングシートとは読んで字の如く、発注者に対して聞いておきたいこと、認識を刷りあわせておきたいことをあらかじめ記載、羅列した文書のことです。

文書というとちょっと仰々しい気もしますが、極端な言い方をしますと、メモでも構いません。

肝心なのは「何を目的としたプロジェクトなのか?⁠⁠、⁠その為には何が必要なのか?」それを探ることの出来る項目があればそれがヒアリングシートなのです。

次のような項目を予め用意し、ヒアリングに臨むのが一般的です。

(1)サイトの目的
例えば、認知向上なのか/商取引なのか、またその両方か、それともそれ以外なのか、など目的があるでしょう。
(2)サイトの目的を設定した背景
例えば認知向上を目的とした依頼であっても社名を広く宣伝したい、という事もあれば先進的な企業だと思われたい、というような様々な背景があるかもしれません。
(3)想定するターゲット
企業のサイトであれば、取引先に向けた内容なのか、それとも自社の製品を使うユーザーに向けているのか、など考えられるでしょう。
(4)サイトでもっとも重要となる情報・事項
販売業であれば新製品の情報であったり、飲食業であれば食の安全に対する取り組みの姿勢であったり、たとえばトップページに記載する内容を構成する際に必要かもしれません。
(5)予算
たとえば、予算によって制作できるコンテンツの厚みも変化するでしょう。それはページ数であり、デザインレベルであるかもしれません。
金額は非常にクリティカルなポイントですので、事前の確認は大切です。
(6)納期・スケジュール
夏だけのキャンペーン情報をどうしてもサイトに掲載したい、など情報そのものに鮮度がある場合もありますし、サイトのクオリティが優先する場合もあります。

そのほか、Webサーバー環境について、写真素材などの手配について、システムとの連携はあるのか否か、保守/運営について、など付随する項目もありますが、今回はリニューアルということで割愛しました。

まずは、このあたり、6つのポイントを押さえて情報を収集することで発注者とスムーズな意思疎通を実現できるのではないでしょうか。

さて、ヒアリングシートを使って2人が上部社長から引き出したニーズとは・

今回のチェックポイント

サイトリニューアルに必要な情報を集めよう。

リニューアルのポイントは何か?ヒアリングシートを用意し、次の点をチェックしてみましょう。

  • (1)サイトの目的
  • (2)サイトの目的を設定した背景
  • (3)想定するターゲット
  • (4)サイトで最も重要となる情報・事項
  • (5)予算
  • (6)納期・スケジュール

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